かつてバス釣りブームの頃、当時でさえブルーギルはバスを圧倒するほど数が多かった。生産性の低い野池・ため池ではすぐにバスがエサ不足になり痩せ細り、やがて小型化していった。一方こういった環境でギルはどうかというと他の水域同様バスを上回る個体数にはなるのだが小型の個体が目立つようになる。私の以前すんでいた町にあった沼でもエサ不足になったバスがほとんど見られなくなりギルとコイだけになった。ギルはどうかというと小型化し数を減らした。バスとギルに食べ尽くされ在来魚類はコイ以外絶滅した。トンボ類も数を減らしギンヤンマが姿を消した。つまりギルがいくら何でも食べる雑食性とは言え貧弱になった環境では大きくなれず個体数も減るということではないだろうか?。しかし霞ヶ浦のような広大な環境ではそのようなことはなくギルも多数であり大きくもなれるのではないかと思う。ただし、ギルは成長が遅く25㎝を超えるのは稀で霞ヶ浦で良く釣れたサイズは15~20㎝ほどのものが多かったように思う。25㎝以上ぐらいになると顔がごつくなり生意気にも歯が生えている(苦笑)。肉眼でハッキリと歯が生えているのがわかる。霞ヶ浦ではあらゆる釣りの外道であり、主にエサ釣りの外道で掛かることが多く良く湖岸に多数が捨てられてた(今は捨てられているのはギルではなくアメリカナマズに)。ルアーへの反応も良くミノー、スピナーなどへの反応が良かった。ただカワムツではないが自分の大きさと変わらないルアーにも掛かることも珍しくなくトップウォーターにも出る。本命にするには容易に釣れることと魚自体の大きさが普通は大きくともせいぜい20~23㎝程度なので、このあたりが釣魚としていささか魅力に欠けるということではないだろうか?。ただし柏木重孝氏も言っているように同サイズならバスより引き数も釣れるからかつての霞ヶ浦ではファミリーフィッシングに最適だった。ところが近年異変が起きた。霞ヶ浦で数の上でバスを圧倒したギルに日本国内においてかつてない強者が現れたのである。それが言うまでもなくアメリカナマズだ。実際にアメリカナマズが何を食べているのか腹を裂いて調べるとエビやハゼに混じりブルーギルが出てくる。やはりアメナマに食べられていたのである。バスがあまりギルを食べないこととギルがバスにあまり食べられていないことは知られている。しかし平均サイズも最大サイズもバスを大きく上回るアメリカナマズが相手ではギルも敗北するしかなかったのかもしれない。村田基氏によればギルは霞ヶ浦では絶滅危惧種(それほど見られなくなった)だという。あの繁殖力と食性だから絶滅危惧種というのはオーバーな言い方だと思うが、そう言いたくなるぐらい数が減ったということだ。同じバスとギルが減っている琵琶湖と違うのは、あちらは駆除の効果でこちらはアメリカナマズに敗北?ということだ。しかもアメリカナマズは産み落とした卵が孵化するまで親が守り成長個体には強力な棘があり外敵から捕食されにくいという武器まである。バスとギルは体高があり背びれに鋭い棘を持っており、これも外敵に捕食されにくいようになっているがバスは口が大きい割には食道が細く体高がある魚の捕食は苦手だ。ところがニホンナマズもそうだがアメリカナマズは口の大きさと食道の大きさが変わらず体高のある魚でもバスより飲み込みやすい構造になっている。こういったあたりがアメリカナマズがギルを捕食できる理由だろう。おそらくバスの若魚クラスでも大型のアメリカナマズに捕食されているに違いない?。また最近霞ヶ浦で良く釣れていると言われるスズキの存在もバスやギルの減少に影響しているかもしれない?。霞ヶ浦のスズキもアメリカナマズ同様腹を裂いて胃の内容物を調べてみるとわかるだろう。現在アメリカナマズはバスやギルと比べると日本国内での生息域は拡大中ではあるがまだまだ狭い。個体数でギルがバスを圧倒している水域がほとんどだがバス、ギル同様無差別な違法放流が後を絶たなければアメリカナマズがバス、ギルを圧倒している霞ヶ浦のような状況が増えていくことだろう。

 

霞ヶ浦では数の上でバスを圧倒したギルであったが・・・・・

数の上でバスを圧倒したギルもアメリカナマズには敗北した?、完敗した?と言ってもいいかもしれない。