霞ヶ浦は今やナマズの湖として知られている。ナマズと言ってもご存じアメリカナマズ。ではニホンナマズの現状はというと?。これが悲惨の極みなのだ。関東のニホンナマズは移植されたものだと言われ関東地方に入ってきたのは江戸時代中期頃だという(文献にもあるとされる)。霞ヶ浦でもかつては豊漁で大正時代年間22トンを記録した年があるという。ところが茨城県内水面水産試験所によれば現在霞ヶ浦湖内での漁獲量は年間数匹だというのだ(牛久沼も同様だと)。水産試験所によれば放流活動も行われているようだが、釣りをしていても増えている実感がほとんどない。霞ヶ浦の流入河川は50本あまりだが流入河川においても生息している河川は僅かでありナマズ釣りはまず成立しない。特に河川ではカワウの食害も追い打ちをかけていると思われる。実感としてカワウ対策が全くなされておらず放置に近いと言わざる得ない。以前霞ヶ浦でまだ数の多い魚種の傾向としてハクレン等の大型になる魚(大型ゆえバス等の食害をうけにくい)と河川に繁殖を依存する魚(本湖ほどバス等の食害をうけない)と放流という恩恵をうける魚(コイやフナ)などがあげられる。特に霞ヶ浦以外でも行われる放流という行為は過剰放流の場合が多く決まってコイ、フナといった特定の魚種である場合がほとんど。その水域にコイとフナしかいないわけではないのに。また漁業資源の価値がある魚だけの場合もある(代表的なものにアユ、サケ)。ニホンナマズの放流に関してはブルーギル対策として千曲川で放流していると聞く。また千葉県印旛沼においても県の内水面水産試験所と漁協が協力して放流活動が行われているとか。成果はどうなのだろう?。利根川ではかつてメーターに達する大物が時々捕獲されたというが、利根川では1980年代20~25トンの漁獲高があったものが1990年代末には5トンに急減。その後は5トンほどで推移していたようだが現在はどうなっているのだろうか?。やはりアメリカナマズに取って代わられつつあるのだろうか?。神奈川県下において県の内水面水産試験所の調査によれば県内に広く生息してはいるものの、まとまって見られる場所は本流と支流または水路が連なる環境が多いところであったという。霞ヶ浦の場合周辺水路はいずれも水門がありニホンナマズは行き来できない。だいぶ前になるがある主任研究員の話によれば一年間投網を打つとアメリカナマズ100匹に対しニホンナマズは数匹しか入らなかったという。さらに魚道を設置してニホンナマズの行動を観察したところ水路に入って来たというから水門等が魚に多大な悪影響を及ぼしていることは明らかだ。流入河川の大半がコンクリート化され魚道もない堰が無数にあることも多大影響を与えている。実際堰が多い支流上流では魚の気配が非常に薄い。たとえば霞ヶ浦の流入河川の中下流ではハスは普通に見られるのに(現在はカワウの食害で皆無)上流支流では極めて少ないか皆無である。少なくとも漁協がある河川では魚の遡上に配慮した環境作りが望まれる。一方本湖霞ヶ浦ではアメリカナマズが人気?だ。手軽に大物(70~80㎝)が釣れる上に数も釣れる。爆釣どころか暴れまわっている(笑)。バスもギルも完全に脇役。ニホンナマズはというと勢力的に脇役おろか端役の印象さえある。だいぶ前になるが大きさ93㎝重さ10㎏の大物が捕獲されたことがあるが個体数はもちろんだが現在このような大物に会うことができるのだろうか?。

 

観賞魚としてもルアー釣りにおいても愛すべきニホンナマズ

霞ヶ浦の天下統一も目の前?のアメリカナマズ