■マンモとエコー
マンモグラフィは微細石灰化の描出に優れています。
それに対して、エコーは腫瘤の描出に優れています。エコーは若年者の濃い乳腺の場合でも、小さな腫瘤を発見しやすい利点があります。
従って、エコーはマンモグラフィで検出できない乳癌を検出できる可能性があります。
日本乳癌学会/編の『乳癌診療ガイドライン(検診編 2005)』で「超音波検査(エコー)は乳癌検出の上で有用である」とし「エビデンス(根拠)があり、日常診療の実践が推奨される」としています。
■ 触診
日本乳癌学会/編の『乳癌検診ガイドライン(検診編 2005)』によりますと視触診による乳ガン検診の効果を検証した研究を基に以下のように導き出しています。
研究では乳癌(視触診)診断前1年以内に検診を受けている乳ガン患者の死亡リスクは、1年以内に視触診検診を受けていない乳ガン患者の死亡リスクと統計的に差はないとしています。
このエビデンスから「視触診による乳ガン検診は死亡率を減少させない」として日常診療での実践は推奨しないとしています。
厚生労働省が行った「がん検診の有効性評価」によると「視触診による乳ガン検診は、無症状の場合は死亡リスク低減効果が認められるが、有効性を示す根拠は必ずしも充分ではない」としている。
このように日本乳癌学会、厚労省ともに乳ガン検診における触診に対し「推奨しない」、「根拠は必ずしも充分ではない」としている。
従って、触診をしないでマンモグラフィとエコーで乳癌検診を行うことは、一定の医学的有効性、エビデンス(根拠)があるといえるでしょう。
にもかかわらず、触診の医学的有効性が説明されず、女性が強い羞恥心、精神的負担を感じる「乳房の触診」が患者の意思を無視して行われることは女性への配慮を欠き、インフォームドコンセント(充分な説明と同意)に則しているとは言えません。
■現行の乳癌検診
ところが、現行の乳癌検診では、マンモグラフィとエコーは併用されておらず、マンモグラフィと触診による検診となっています。
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マンモグラフィの弱点である若年者の濃い乳腺に出来る腫瘤の検出やブラインドエリア(挟めない部分)の検診は触診によって補うこととなります。
しかし、触診による検診が充分なエビデンス(根拠)を持たないことは上述した通りです。
触診による検診が充分なエビデンスを持たないことを説明せず、女性が羞恥心を強く感じ、精神的負担を受ける触診を実施する事に疑問を感じるのは私だけでしょうか?
ましてや、ニヤニヤしながら触診をして女性患者に不快感を与えるようなセクハラ触診は論外です。
・自治体の規則
自治体によっては触診を受けないとクーポン券が使用できない等のインフォームドコンセントに則さない規則があることも看過できません。
触診はその有効性を充分に説明した上で、選択性にすべきでしょう。
■声を出していくこと
インフォームドコンセントを欠く規則に対して、病院、医師会を含め、自治体に対して、また、ニヤニヤしながらの触診といったセクハラ行為に対して、医学的有効性とインフォームドコンセント、患者の自己決定権、患者の尊厳の立場から、抗議し、「触診の選択性」を電話、手紙、faxを通じて求めていきましょう。
声を出していくことが大切です。