ハイティンク盤フィガロの結婚 | Intermezzo ~幕間のおしゃべり~

Intermezzo ~幕間のおしゃべり~

しがない歌劇愛好家Basilioの音盤鑑賞録。
備忘録的に…

ひょんなことで観た映像でしたがかなり出来がよく、大満足。変な話今後他の映像を観ていいと思えるのかあやしく思うぐらい(苦笑)

ハイティンクは奇を衒わない堅実で稠密な音楽が心地よいです。安心して聴けるし、飽きない。名匠と思います。メドカルフの演出もよく、音楽とドラマが噛み合って進行するフィガロという演目だということもあるかと思いますが、これだけ違和感なく舞台を観ることができ、しかも楽しめる演出はこれまで経験していません。

歌手では出色はフレミング演ずる伯爵夫人。誠実で整った歌がハイティンクの指揮にもあっており、モーツァルトで真価を発揮する人なのだなあと改めて感じました。佇まいも演技も、まさに若さとは裏腹に愁いに満ちた夫人そのものでした。対する伯爵のシュミットもお見事。頑固さと好色さがともに強く感じられ、しかもノーブル。伯爵は単なるおバカさんではなくある程度狸であって欲しい役なので、そのあたり頭の回転のよさや腹黒さもあって良かったです(^^)スザンナ役のハグリーは初めて知った人だったのですが、歌唱、演技、容姿ともばっちりはまっていて素晴らしかった!機知に富んでいて感情が豊かでフットワークが軽い軽い!フィガロのフィンリーもまた機敏で軽快で見事な一方、この役ではやや見た目も演技も生真面目にも感じましたが、考えたらセビリャと違って怒ってる場面が結構多いし説得力がありました。声も若々しくて力強いです。トドロヴィチは中性的な顔立ちで愛らしいケルビーノ。低い響きもしっかり鳴っていて◎
バルトロのロエル、マルチェリーナのヒルハウスなど傍役もみなさんぴったりでうきうきしますが、特に英国の名キャラクターテナーのティアーが演じるやらしいバジリオがいい存在感を出しています(笑)

初めてのオペラにもオススメできるものと思います!