本日クリア。48時間。

最初はネタバレなしで行きます。

 

アニメ調作品というと、テイルズあたりが比較対象。
アライズ、ヴェスペリア、ベルセリアあたりの、テイルズシリーズの中でも最高傑作の部類に入る作品と比べてもいいようなバランスと仕上がりでした。

 

新しさは全くなく、すべてにおいて「完成された模倣」ではありますが、それらをうまく組み合わせて完成度の高いゲームに仕上がっていたと思います。

ストーリーも、FF7のリメイクよりも上手に次回作に誘導するシナリオ設計で、「壮大な序章」として「the 1st」の意味が最後に分かる作りは良かったです。

 

ラストダンジョン・ラスボス・エンディングの感情の揺さぶりで、「まあ、80点台かな。」と思っていた評価が大きく上振れ。

してやられた、と感じたユーザーも多かったのでは。

GWから2週間ぐらい遊べた良作。

JRPG好きなら、遊んで損はないし、続きはやりたくなるんじゃないかと。

 

というわけで採点。

『空の軌跡 the 1st』の評価は…

88点!

90点(神ゲー)には惜しくも届かないがいい作品でした。

 

以下、思うところをネタバレありで。

★JRPGを徹底的に研究して作っている感じがする

本作について感じる最終的な印象。

目新しさは全くと言っていいほどない一方で、手抜きや調整不足も感じられない。

頂点を極めたことがある某メーカーはナルシシズムによって自滅しているようなふしがあるが、そういううぬぼれが感じられないところが、逆にこういう作品を生み出す大切な条件なのかもしれない。

 

★ビタースイートなエンディングと予告映像

これに関しては、もしかしたら本作のオリジナル要素、と言ってもいいかもしれない。

連作のゲームの次回作への誘導手法として、効果的だったと思う。

元来天真爛漫なエステルのヨシュアへの思いが、こういう形で切ない「ロス」へとつながり、続編のメインテーマへと昇華する。これはRPGの読後カタストロフィの描き方としても、あるいは連作を成功させるエンタメビジネスのアプローチとしても、一つのお手本ではないだろうか。

最後の最後まで色気なしのネアカ少女だった主人公に、愛の告白と残酷な現実を同時に経験させること、そして「ああ、あの天真爛漫少女にもう会えなくなるのか」という「ロス」をプレイヤーに突然植え付けたところでエンディング、からの、続編予告。

この流れとエンディングシーンを成立させるまでの伏線は見事だった。

FF10のエンディングもそうだったが、このラストシーンを描きたくて逆算してシナリオを描いたのではないかとすら思う。

ヨシュアが吹いていたハーモニカの曲に歌詞をつけたもの(タイトル画面はこの曲の長調アレンジ)がエンディングで流れる。この「劇中BGMは実は歌詞付き、そして歌詞は壮大なネタバレ」という演出で言えば、FF9が思い出される。

だから演出手法として特別オリジナリティがあるわけではない。

しかし、前述のとおり、これこそがJRPGの伝統から生まれた遺産を未来につなげるような、「パクリ」ではなく「オマージュ」なのだろうと思う。

 

ただし、残念なのはムービーのクオリティ。

本編通じて一貫して、キャラの動きがカクカクしていたり、カメラワークがショボかったり、「映画」として見るには間が持たない出来だった。

倍速機能がいつでも発動できるとはいえ、中盤の演劇のシーンとエンディングはムービーが延々と(体感20分~30分ぐらい?)続いたので、さすがにここは辟易した。

私が本作を「神ゲー」と呼べない主な理由はここにある。

※ボイスありのところとなしのところがイマイチ基準がわからないのも微妙。この点は多くのプレイヤーが指摘していた。

 

フィールドマップの作りは、全部同じような平地ばかり。一部海があるが、他作品では雪国、森、火山、砂漠など、風景を見ているだけでも楽しめるようなグラフィックの美学が存在する一方で、この地味さは群を抜いている。

さらに、ラストダンジョンも安直に各キャラの最強装備と長期戦になるラスボス戦で利用するような起死回生回復アイテムをやたら長く複雑な迷路に配置しただけで、ギミックの類は全くない。

だから、ラスボスを倒した後も、「カタストロフィ」までは得られなかった。

 

もし、50時間近いゲームプレイの中のラスト30分のムービーなしでここで終わっていたら、私は本作に「過大評価されているのでは?」というコメントをつけていたかもしれない。

それでも、結局「フルプライスで買ったけど満足」「2もやろう」と思ってしまったので、作り手の思惑はしっかり達成されたのである。

 

★キャラクターについて

良い悪い、好き嫌いの話ではない。

作品全体としてバランスが良い、ということ。

まずパーティーメンバーの男女比は1:1。

それぞれの属性やエス&ヨシュとの関係性もバランスが良い。

 

●エステル…明るく前向き・直情径行

●ヨシュア…影があって慎重

 

まずこの2人は分かりやすく正反対にしてある。

 

●シェラザード

…エステルに色気がない分、完全にエロ担当。

戦闘中のセリフはサディスティックで武器も鞭。

酒飲みで享楽的だから属性が同じオリビエが浮かない。

●オリビエ

…この享楽的な男(楽器の演奏が得意な金持ちで、グルメと女が大好き)が序盤と終盤にパーティーに加わることで、the 1stのシナリオが全体的にコミカルになる。

それが重いラストのギャップと次回作への期待、という展開につながりやすくなる。

こういう意味でもよく考えられている。

オリビエ自身にも謎があり、それが物語のスケールを拡張させる機能を果たしている。

 

●アガット

…FFのクラウドを彷彿とさせる背中の大剣。

過去に何かを守れなかったとか、妹がいるとか、この辺もテンプレと言えばテンプレだが、メンバーの武器がRPGとしてはやや特殊寄りのものが多い(主人公エステルに至っては「棒」)ので、剣1本で戦うアタッカーというのは分かりやすい。自分でバフをかけて火力で押し切る、というのはRPGではロマンの一つ。

 

●ティータ

…「みんなの妹」になることで、アガットの物語を動かすきっかけになるし、エス&ヨシュにとっては遊撃士の先輩(お兄さんお姉さん)にあたるメンバーが3人もいる(エステルはシェラのことを「シェラ姉」と呼んでいる)中で、それとは逆の関係性を設定できる。幼少のティータがいることで、「弱みを握られて陰謀に加担せざるを得なくなる博士」という話も成立しやすい。

 

●クローゼ

…エス&ヨシュと学園生活を過ごさせて「同学年の友達」という関係性を加えている。

他のメンバーが何度も出たり入ったりを繰り返す(だから育成要素が物足りなくなるのだが)ことにより、物語の中心にいる2人との関係性に多様性を持たせることで、2人の魅力に様々な点からスポットが当たっているように思う。

また、クローゼが誘った学園祭の演劇が、エステルの恋心が起動するきっかけにもなっている。

●ジン

…ティータの小ささ+メカとの対比。熊のような大男+格闘技。

カシウスが最後に登場するためのつじつま合わせとしても必要だったか。

 

他にも、空賊の僕っ子、天然マイペースなカメラ女子、そして黒幕など、客のフェティシズムに媚びを売るのではなく、RPGとしての構成・構造をしっかり成立させるためのキャラ設計が多く、好感が持てた。

 

と、結構長めの感想になったが、今回はこれまで。

次は何をやろうかな…。