2日で一気見 アニメ『ブラックラグーン』

 

私は、サブカル大好き。

しかし、ゲームはやるが漫画もアニメもほとんど見ない。

そんな奴が「サブカル大好き」などという資格があるのか微妙だが、小中学生時代に「ファミコン」と「少年ジャンプ」にどっぷり浸かっており、いまだに当時と似たような消費行動しかしていない(=ガキのまま成長していない)ので、そういう意味では「自分はこれが好きなのだ」と認識している。

 

さて、そんな私だが、実は今、個人的事情により1か月自由な時間ができたので、そしてこんな機会は働かなくてもいいような身分になるまで2度とない(はず?)なので、心に浮かんだことは全部やっておこうと思い立ち、youtubeのおススメに出てきた編集動画に興味を持っていた『ブラックラグーン』という作品のアニメ版29話を、2日で一気に見てしまった。

 

私はu-nextが利用できるので、サブスクの基本料金だけで見られた。

結果、結構面白かった。

以下、魅力的だと思った点について。

 

 

  面白かった点(ネタバレなし)

 

①複数の組織・個人の思惑が絡んだ重厚なストーリー

007などのスパイ映画にもよくある、マフィア・テロリスト・政府組織といった「法の外」で活動する諸勢力が、互いに権謀術数を張り巡らせながらしのぎを削っているという、アニメとしてはなかなかに重厚感のあるシナリオ。

架空の無法地帯「ロアナプラ」で生きることになった主人公“ロック”が、元は日本のエリートサラリーマンだった、という設定も面白い。

そもそも人殺しの物語を「カッコいい」「英雄的」と感じてエンタメとして消費できてしまう視聴者の、非日常へのあこがれ(もしくは法を超える万能感=中2病というのか?)を満たすのが本作の“売り”だと思うので、ロックの視点を通じてこの世界に没入できるようにしたのはベタとはいえ効果的だったと思う。

 

②救いのない絶望的な境遇の登場人物達が突き付けるリアリティー

一方で、容赦なく人が殺されるのは、アニメと侮れない「重さ」がある。

暴力の世界で生きるしかない人々の残酷で悲しい物語には救いがなく、死だけが唯一の救済のように見えてしまう。

自尊の感情を踏みにじられた人間だからこそ、人を殺して生き延びることを受け入れることができてしまうのであり、その原理自体はフィクションではないのだ。

犯罪都市ロアナプラが架空の地だったとしても、モデルとなっている実在の都市が連想されるような描かれ方をしているし、「独裁政権が生み出した孤児」や「思想犯によるテロ」は史実である(ロアナプラの港の入り口にはタリバンによって破壊されたバーミヤンの石像にそっくりの顔のない仏像がある)。それに、貧困や虐待のなかで暗い夜を生き延びている子供たちは今も世界中に存在する。

こうした現実が突き付ける息も詰まりそうな絶望感が、作中の残酷な描写の中に織り込まれていて、侮っているとちょっと心が苦しくなる。

 

③主人公2人の内面の葛藤に見る「青春」

暴力と死の世界で生きてきたレヴィと、平和な日本でエリートサラリーマンをしていたロック。

対照的な2人が出会うことによって、自身の立ち位置が動揺する。

彼らの葛藤はとてもピュアでナイーブなものであり、青春そのものだ。

シナリオ的にも、彼らの内面に変化や葛藤が生まれるように構成されていたので、ここも見どころになると思う。

 

④ハードボイルド感満載のセリフ回し & 声優さんの演技力

洒脱な比喩表現を随所に織り交ぜた会話のやり取りは、それぞれのキャラクターの人物像やバックグラウンドをうまく表現していると同時に、ハードボイルドな世界観を象徴してもいて、とても魅力がある。

とりわけロシアンマフィアの女ボス「バラライカ」は、硬派なセリフに声優さん(小山 茉美さん)の見事な声と演技が完璧にハマっていて、このキャラクターだけで物語が成立すると言っても過言ではない。

私の中では数あるゲーム・漫画・アニメのキャラの中でも指折りの“推し”になった。

 

⑤音楽・OP&ED

ギターリフがハードなガンアクションへの期待を高める、HR/HM好きには刺さるOP。

EDの方は打って変わって、ラヴェルの「泣き王女のためのパヴァーヌ」を連想させる、鎮魂歌のようなインスト曲。

劇中の音楽も場面に合わせてこだわりが感じられる、良質なものだった。

 

 

  イマイチな点

 

ただ、どうしても「アニメだな」と思ってしまうところも。

①英語のセリフ

シンゴジラでの石原さとみの英語も酷かった。

キアヌ・リーヴス主演のアクション映画「ジョン・ウィック」シリーズで、日本人の殺し屋(役の外国人俳優)が、「オマエヲコロスノハオレシカイナイ!」と言ったときには言葉を失った。

映画でもアニメでも、役者が離せない言語でのセリフがある場合、基本的に悲劇しか起きない。

※蛇足だが、同様に、XJAPANの英語歌詞やYOSHIKIの英語ポエムも酷すぎて、せっかくの名曲「Tears」なんかも聴いていられなくなる。

 

レヴィ役の豊口めぐみさんは、それこそ私が高校生ぐらいのころ、当時TBS・ニッポン放送・文化放送のラジオ番組をよく聞いていたので、まだ駆け出しのころから名前を知っていた。

今となってはかなりのベテランで、私が遊んだことがあるゲームで言えば、ペルソナ3の岳羽ゆかりもCVは豊口さんだった。

というわけで素晴らしい役者さんであることは分かっているのだが、英語のセリフはちょっと、アレだった。

※またまた蛇足だが、英詞のOPも、レヴィになり切って書かれた歌詞だと思うが、ヴォーカリストの発音は良いとは言えない。文法的に「?」と感じる箇所も。

 

②撃たれても刺されても死なない主人公

アニメあるあるだと思うのだが、肩とか脚とか、致命傷になりにくい場所を撃たれたり刺されたりすることがある。

普通、銃弾が当たったら、骨が砕け、肉が飛び散り、倒れたまま起き上がれないぐらいの状態になるはず。

他のシーンにある緊張感やリアリティが、どうしてもアニメのこういうところで興ざめしてしまう。

 

③執筆ペースの遅さと続編の厳しさ

とても魅力的なシリーズだと思うのだが、続編はきつそう。

20年で13巻とは、あまりにも遅すぎる。

遅いと何が問題なのかと言うと、現代が舞台なので、作品の背景となる国際関係や社会・経済的環境が変わってしまうのだ。

たとえばバラライカは旧ソ連の軍人だったわけで、2025年の今となっては「プーチンのロシアがウクライナと戦争しているところにトランプのアメリカが割って入っている」という状態なので、背景となる国際関係がまるで違う。

携帯電話も高画質液晶スクリーンを備えたスマホに変わっているし、ロックのようなサラリーマンは別に「平凡な日本人」を代表するものではなくなっている。(毎日上司に蹴られたり、無理矢理酒を飲まされたり、というのは今では立派なハラスメントとして認定される。)

世界観が、2000年代初頭から、変わっていない状態でこの物語を20年後の現在も書き続けるというのはちょっと苦しいのではないか。

また、そうした作品が、若者を中心とした新しい客層に受け入れられるかどうかも疑問である。

これまでにリリースされた分については「成功」と言えるだろうが、今後商業的に成功する可能性がないのなら、続編は厳しいと言わざるを得ない。

 

④どっちに寄せたいのかも分かりにくい

気軽に見られる「キャラもの」としては十分魅力的なので、その方向で行くならアリだと思ったのだが、ロベルタの結末などを見ると、そういう見せ方をしたいわけでもなさそうだ。

リアリティとシリアスさ重視ならそれでもいいのだが、その割にはギャグシーンやカジュアルなシーンもあり、何を描きたいのかがよく分からなくなっている感じは否めない。

ファンとしても、見たいもの、知りたい結末が分かれていて、どちらに転がしても結末は賛否両論になりそう。

 

 

  満足度採点してみる

 

とりあえず、せっかく見たので採点。

 

ブラックラグーンアニメシリーズ(原作漫画未読)の点数は…

80点!

 

普通に面白い作品でした。

 

今までアニメ好き・マンガ好きの人と交流がなかったんですが、これからはそういう人にも「ぜひおススメ教えて下さい!」と言えるようになった気がします。