だいぶ前に評判になり、レビューなどではなかなか評価も高い作品だったので遊んでみることにした。

2作合計で50時間ちょっと。60時間はかかっていないと思う。

以下、メインシナリオ&サブクエ全部こなしたうえでの評価と感想です。

ネタバレなし。

 

  グラビティデイズ1 ~魅力はあるが不完全燃焼。続編ありきなので評価は保留

重力がコンセプトの1作目。

コンセプト自体は斬新で面白い。

が、要するに「空を飛ぶ」+「垂直壁登り」ができるだけで、目新しさはさほどない。

 

キトゥンの可愛らしさと不思議な世界観が魅力の作品だが、単調な戦闘・重力アクションの操作性の悪さ(指定した重力方向をボタン一つでキャンセルできなかったのが致命的)・チープな演出(謎言語・漫画風紙芝居など)等で、個人的には80点未満。

合格ラインには一歩届かずといったところだった。

 

ストーリー的にはほとんど何も解決していないので、続編に期待。

 

  ストーリーの続きをアニメでリレーするという手法に「?」

2を遊び始めた直後、前作でほとんど解決しなかったストーリー上の謎に加え、キトゥンたちの物語開始時点の境遇に全く脈絡がなく、正直ちんぷんかんぷんだった。

20時間ほどプレイしてから分かったのだが、1と2の間につなぎのアニメ作品があるとのこと。

正直、私がやりたいのはゲームであって、アニメを見ることではないので、これはスルーした。

 

 

  グラビティデイズ2 ~正統進化した続編。まず良かった点を。

前作では「気になる要素」だったマイナスポイントが大幅改善。

①操作性

重力の方向指定をキャンセルできるようになったことで、操作性は大幅に改善した。

 

②グラフィック&世界の描きこみ

立体多層構造の複雑な街が緻密に描かれており、この世界でビュンビュン飛び回っているだけで時間が溶ける。

また、独特のタッチの画風と世界観で、オープンワールドRPG特有の没入感が得られたのは◎。

前作ではほとんど景色が変わらなかったためにオープンワールドの魅力がイマイチ伝わらなかったが、今作ではそれなりにバラエティーに富んでいて、風景のグラフィック+良質BGMを味わいながら、重力移動の操作を楽しめた。

 

③架空の言語でも伝わる不思議

前作ではかなり気になった謎の架空言語。

あまりにもデタラメすぎてフルボイスにする予算がなかったのだろうと邪推していた。(実際そうかもしれない。)

しかし、今作では「固有名詞ははっきり発音する」、「感情描写は豊かに」といった工夫を感じ取ることができ、文法にも単語にも全く輪郭がないのに、キトゥンたちがちゃんと会話しているように感じられた。

 

④漫画風演出にも味わいが

これまた、ムービーを作る金がなかったのだろうと思っていた。(実際そうかもしれない。)

しかし、3DCGのグラフィックがリッチになり、前述の言語の問題も改善されたことも相まって、これはこれで、作品の雰囲気や世界観を作るために、必然的かつ積極的に選択された演出であるように感じられた。

ゼノブレイドシリーズのような冗長なムービーゲーもあることを考えれば、これはこれで良いと思う。

 

⑤さらに深まるキャラクターの魅力

相変わらずキュートなキトゥンと、彼女の周りにいる登場人物が魅力的。

シド―をはじめとして、前作では「セリフのあるモブ」程度の存在感だったキャラにもちゃんと見どころが用意されていた。

 

  それでも気になるいろいろなこと~何で楽しませようとしているのか煮詰め切れていない印象

一方で、気になる点も多い。すごく多い。

以下箇条書きに。

 

①カメラワーク

狭いところで最悪の動きをするカメラ。

この手の3Dゲームでは完璧な作品は存在しないとも言えるが、壁やら天井やらに張り付くことがあるうえに、狭いところやオブジェクトがあちこちに散らばっているようなフィールドでの戦闘が続く本作においては、なおさら難しいポイントだったと思う。

 

②相変わらず単調な戦闘&これまた操作感クセ強めのモード(チューン)切替

戦闘は相変わらず。

そもそもこのゲームは戦闘を楽しむ作品ではないのでは?

戦闘時のモードもスピード型とパワー型の仕様が追加され、基本的にいつでも切り替えられる(たまに切り替えられない縛りイベントもある)のだが、これらの挙動もかなりクセが強く、取り回しが悪い。

結局のところ、相手の射程圏内で戦うことがとてもリスキーな戦闘なので、遠くからものを投げつけるか、高速の重力キック(エイムがしづらい上によく外れる)の2択しかなく、何が面白いのか分からない、ということになりがち。

 

③効果が実感できない&面倒くさい育成要素

戦闘で経験値をためて強くなる、というのではなく、マリオがコインを集めるが如く、赤い粒を片っ端から回収する(後半になればなるほど回収できる場所もなくなっていく)だけなので、育てる喜びもあまりない。

 

④存在感の薄い装備品「タリスマン」&採掘場

一覧にされたところで見た目が全部同じで名前すらついていないんだから、区別できんだろ。

一個ずつカーソルを合わせて効果の説明を見て判断するしかない。

名前を見れば効果が分かるような装備品にするべきではなかったか。

またその効果説明のテキスト内にゲーム内用語がふんだんに詰め込まれているので、何のことだか分かりづらい。

そのうちどうでも良くなる。

それと連動して、採掘場も報酬が微妙すぎてやる意味が分からなかった。

 

⑤強引な展開&深遠なテーマをちらつかせながら肩透かしで終わるストーリー

全体を通じて、メイン/サブいずれのクエストにおいても「その時の私には知る由もなかった」的な締め方で匂わせて終わるエピソードが多い。

にもかかわらず、「あれってその後どうなったの?」とか、「あ、それ以上は掘り下げないんだ…」というような終わり方ばかりで、ストーリー自体の味は「超うす味」といったところ。

世界や自分自身についての謎を追い続けるでもなく、貧富の格差や政治問題といった人間の社会の普遍的な問題(そしてそれらの問題と向き合うキトゥンの成長)を掘り下げるでもなく、1話完結型のアニメを見ているような、連続性のない肩透かしなシナリオに感じる。

前作から一貫して存在し続ける「そもそもキトゥンは何者なのか」という謎に対する答えが最終盤のみに詰め込まれていて、間にアニメまで挟まっていることを考えると、「ここまでたどり着けるプレイヤーがどれだけいるのかな」といういらん心配までしてしまう。

レビューを見ると「結末は分かりやすい」という評価が多いのだが、それは表面的にしか見ていない人の意見で、深く考察しようとすると相当難解な部類に入ると思う。

 

⑥使い勝手の悪いファストトラベル&微妙なロード時間

場所や施設に名前がついているわけでもないから、どんな場所だったかも瞬時に思い出せない。

そもそもマンホールの場所も微妙だし、発見もしづらい。

オープンワールド作品に多いが、特定の場所からしかファストトラベルできない仕様にするのって、何か理由があるのかな?

無視できるほど短くないロード時間も、ボディーブローのように効いていて、テンポが悪い。

 

⑦何が面白いのか分からないイライラ要素満載のサブクエ

とにかく取り回しの悪さを見せつけているだけにしか感じない、サブクエの数々。

時にあまりにも理不尽で、ゲームをやっていて本気でコントローラーを投げつけたくなったのは、過去にほとんど記憶がない。

それぐらいイライラした。

 

★★全体を通じて「何が面白いの?」と感じる点がかなりあった。

キャラクターも世界観も魅力的だし、グラフィックも音楽にも、「芸術性」と呼んでいいようなレベルの美しさがある。

「重力」というコンセプトも独創的だし、移動も戦闘もシナリオも、そのコンセプトの下で一貫してデザインされており、プレイヤーの没入感を引き出すことに成功している。

だから決して「凡ゲー」・「クソゲー」ではない。

しかし、結局のところ空が飛べて(「落ちる」でも「飛ぶ」でも表現はどうでもいい)壁を歩ける、ということを除いたら、やっていることは数々の他作品と同じことなわけで、戦闘と育成が面白くないとなると、ただただカメラワークと操作性の問題にイライラしながら指定された課題をこなすだけになってしまう。

キトゥンが可愛くなかったらここまで評価されていなかったと思うのだが、どうだろう。

 

  それでは採点

では採点を。

グラビティデイズ1の点数は…74点!

グラビティデイズ2の点数は…78点!

 

前述の通り、確かに優れた要素はたくさんあり、芸術点も高い。

キャラゲーとして見ても主人公が際立って魅力的だった。

しかしゲームとして見た場合、クリエイターの想像/創造力にプレイヤーのそれが入り込む余地がほとんどなく、プレイ体験が一方的だったように思う。

画風や世界観や音楽、そしてキャラクターにハマれた人は「神ゲー」と称賛することもあるだろうが、私個人の意見としてはそれは過大評価だと思う。

 

それでも、数十時間遊んだのだから(もっと言えばサブスクでほとんどお金がかかっていないのだから)、やっぱりゲームはコスパ最高のエンタメだと思う。