★★タイトルにもある通り、思いっきりネタバレ含みます。ご注意を。

さて、そろそろいいかな。

 

前の記事ではストーリー8点としました。

良かった点と悪かった点を書きます。

 

 

  ストーリーの良かった点

①クラウドの苦悩と心理描写

命乞いする神羅兵を殺戮したり、ティファやエアリスを乱暴に扱ったりするなど、だんだん制御できなくなっていく姿が良い意味で痛々しい。

こんな主人公もそう多くないのでは。

ザックスの記憶や自身のコンプレックスがぐちゃぐちゃに入り混じっていて、主人公のこうした精神状態をプレイヤーとして疑似体験できる、というのもゲームならではのエンタメだと思う。

90年代にここまで深い設定にしていたのはすごい。原作を改めて再評価した。

 

②一瞬でも報われるクラウドとティファのデートイベント

普通にプレイしていたら、ゴンドラデートはティファになるのではないか。

最初からギクシャクしてしまう、思いはあるのに傷つき合ってしまう不器用な二人が、ちゃんと報われてくれたことに年甲斐もなくキュンとしてしまった。キスシーンでは「おめでとう!」と言いながら拍手をしている自分がいた。ファンタジーを名乗っているのだから、これでいいのでは。

 

③バレット&ナナキのエピソードが秀逸

原作通りだが、これは感動的だった。

前回の記事で書いたが、ダインの声優さんの演技がものすごい。

最初は結構仲が悪かったバレットとユフィだったが、このエピソードの中でユフィがバレットを仲間として認識しだすところもいい感じだった。

石になったセトが涙を流すシーンは原作でも感動したが、これも良かったなあ。

山口勝平さん、すごい声の持ち主だな。

 

④友情をはぐくむティファとエアリス

この二人には、同世代の友人がいなかった。

友人どころか、本当の居場所、という意味では二人ともいつも孤独だったと思う。

エアリスは世界に一人しかいない古代種だし、親と故郷を失ったティファは過激派テロ組織についていけなくなっても行き場がないし(それなのに同郷のクラウドがあの状態だし)。

互いの存在によって、二人が孤独から解き放たれていく様子がしっかり描かれていて、すごく良かった。

だからこそ、ラストではティファの落胆ぶりがかわいそうだった。

湖を去るときも最後まで座っていた。

クラウドがあてにならない状態だから、誰かティファを支えてやって欲しい。

 

⑤マルチバースを行き来するザックスとエアリス

最終的には、二人は再会できるものと予想。

世界はいくつもある、ということを体験して納得しているのは、ザックスとエアリスとクラウドか。

最後の最後でちょっとだけ仕組みが理解できるという構成だったが、なかなか効果的だったのではないか。

 

⑥ルーファウスとグレンのヒリヒリするようなやりとり

ここは迫力があった。

もっと見せても良かったかもしれない。

ルーファウスを追い詰める奴もいる、っていうのがグッとくる。

実際、戦争を起こすのはこういう奴らなんだろう。

 

⑦できる女気取りのイリーナとシスネ

タークスとの戦闘はいささか理不尽な面もあるので、何度も登場するイリーナがいい感じのむかつくキャラで◎。

殺戮モードのクラウドにもっと怖い思いをさせて欲しいぐらいだった。

目の前で他の神羅兵殺して見せるとか。

シスネは作中でもちょっとネタ扱いされている。

料理が恐ろしく下手、というのは可愛げがあってよかった。

男でも女でも、気取り屋というのはいるものだが、こんな味付けも、「人間」を描く作品としては趣があった。

 

  ストーリーの気になった点

①エアリスは悪い女じゃないか?

「消えろ罪悪感」なんて、つんくあたりがアイドルに歌わせそうな言葉で正当化するんじゃない。

罪悪感、とは、ザックスに対してか、ティファに対してか。

そもそも「好きにならないで」と言ったのはおまえだろうが。

とすればクラウドに対してもそうかな。

 

ゴンガガでザックスの両親を訪ねた後、クラウドが「エアリスを放っておくなんて、どうかしているな、そいつ」と言ったらティファとエアリスの両方からにらまれたんだが、あれは何だったんだ?

前作から引き続き、序盤からクラウドを誘っていたくせに、クラウドがその気になるのは許さんのか?

こういうところは、男と女はフェアじゃないと思う。

 

命がけで時空すら超えて恋人や友人のために戦い続けているザックスが気の毒になる。

 

②ケット・シー、シド、そしてヴィンセント

原作からそうだから仕方ないのだが、この物語に彼らは必要なのか。

全員神羅の関係者だし。

猫型ロボットがどうやってモンスターと戦うんだ。さらになぜ、あっさり同行を許しているんだ。

お調子者のパイロットが「あんたの母親知っているよ」なんて言ってきたら、これ気持ち悪くないか?

そして、故郷の神羅屋敷にいつからいるのか分からない人物が、棺で寝起きして狼男に変身して元タークスだということまで分かったのに、飛行場までストーキングしてきていきなり一緒に行かせろ、と言ってきたら、キモくて怖いでしょ。イタキモいでしょ。

正直、コスモキャニオンまでは99点と評価していたのだが、シド&ヴィンセントの登場で減点した。

この展開はそれこそ「少年漫画にありがちなキャラクターの登場」に対して、「うん、よくあるよね」と納得してくれる世代と文化圏にしか通用しないのではないか。特に若い世代には「キョトーン」だろう。

 

③人を殺しすぎ

神羅が悪いのはそうだろうが、クラウドもティファもエアリスも、神羅兵なら殺していいのか。

あるいは、仲間がでかい剣を人間に突き刺すところを何度も目撃して、それでもビーチで遊んだりテーマパークでデートしたりできるのか。

神羅兵にだって家族がいるんだぞ。

神羅課長のような家庭人だっている。

エアリスも「命」について能書きを垂れるなら、人を焼いたり凍らせたりはできないはずだ。

このシナリオは、こういう点でも破綻していると思う。

 

④美男美女しかいない世界が悪いのではないが

美男美女というだけで正当化されているのが良くない。

美男美女なら人を殺しても問題なくて、名もない(ついでにヘルメットで顔もなくなっている)神羅兵が司令官の命令に従って銃の引き金を引くのは極悪非道の所業(ついでに死刑)になる、というのは、ねえ。

ただ、ポリコレかざしてゲームに美男美女しか出ないのが気に入らない、と言っているような奴はネズミより頭が悪いと思う。

ゲームと現実が区別できないって、大丈夫?

 

⑤セフィロスのどこに悪としての魅力が?

セフィロスはナルシストであり、マザコンであり、かなりイタい奴。

ずっとニヤニヤ笑っているのも、見飽きた。

FF7のシナリオは確かに複雑で、さらに部分によっては緻密でもあるのだが、肝心なところが雑。

セフィロスが闇落ちするって、飛躍がありすぎるよ。

もはや主人公たちに対して、超常的な力を使って自由にハラスメントを繰り返せる、というだけのクズでしかない。

これまた以前も書いたが、稀代の英雄だったセフィロスに家族や恋人がいたら、絶対闇落ちには至っていないわけで、そういう意味でも設定に無理がありすぎる。

 

⑥全部恋愛に持っていくのか?

エアリスとクラウドをくっつけたがるのはどうなんだ?

最後の最後でデートイベントなんて挟むと、エアリスに対するプレイヤーの思い入れも動揺するのでは?

 

  理不尽な戦闘・ルーファウス戦 & ラスボス戦について

ルーファウスはどうやって倒すのが正解だったのか、いまだに分からない。

少なくともリロードのタイミングが把握できないとどうにもならないのでは?

タークス戦から連戦になるのもきつい。

そもそも実業家の息子が何でソルジャーより強いんだよ。

 

そしてジェノバ~ラスボス戦。

長い。長すぎる。

ジェノバ戦から切れ目なく、1時間半ぐらいずっと戦闘していた。

 

セフィロス最終フェーズ、最後の攻撃の防ぎ方が分からず、3回ゲームオーバーになって攻略情報見てしまった。

だって今日クリアするつもりで1時間半やったんだよ。もう一度最初からなんてやりたくない。

このゲーム、知らなきゃ勝てない要素が多すぎるって。

そして、どういう基準か分からんが、どうして一番役に立たないケット・シーが何度も編成されたんだ?

 

  ミニゲーム・やりこみ要素について

こんなにいらん。

あと、コンドルフォートは何が面白いんだ。

ギルガメッシュ完走できなかったぞ。

それなのに仕組みのよく似たガンビットシミュレーション。。。

もう、いいよ。

 

カードゲームも絶対後攻有利なのにいつも先攻固定だし。

結構な運ゲーだし。

 

召喚獣の祠やライフスポットなどでのボタン押しは面倒なだけで面白くはなかった。

 

 

  ゴンガガ&コスモエリアの探索について

 

もうちょっとガイドしてくれないと、無駄に動き回るだけで時間が溶ける。

可処分時間を気にする現代人の感覚からすると、これではウケないのでは?

 

 

  エアリスの最期について

 

これは良いとも悪いとも思わないのだが、結局クラウドがセフィロスの剣をはじいたことによってエアリスが生存している世界線ができたが、セフィロス(黒フィーラー?)がそれを元に戻したか、何かのはずみで中途半端に混ざってしまった世界線になってしまっている、という解釈しかできない。

なぜクラウドにはエアリスが見えるのか、そもそもクラウドは前作でエアリスに会った直後からこのシーンをフラッシュバックしていたわけで、なぜ未来に起こるはずのことが見えたのか、不明。

私が寄り道しすぎたせいもあるのだが、100時間以上プレイして、古代種の神殿までは盛り上がって、最後の最後に「あれ?結局死ぬんかーい!」と思いながらクソ長いラスボス戦をやって、何だったのか分からずにモヤモヤしながらエンディング、という、達成感のないラストになった。

仲間が悲しんでいる姿を見せられてもイマイチピンとこない。

 

 

神ゲーだと思うが、売れてないらしい。 

上記の通り、結構気になる点も多い。

スクエニのブランドが低下し、FF、ドラクエももう過去の遺物になってしまいつつある中で、史上最高レベルのJRPGが誕生し、またそれが売れていないのが事実、ということになると、ゲームとは何か、なぜ人はゲームをするのか、と言った哲学的な話題にもなると思う。

私はFFシリーズが好きだから楽しめたが、それは「すでに学習済み」だからであって、初めて遊ぶ人がどう感じるかは分からないし、少なくとも私が指摘したような点は共感してくれる人も少なくないと思う。

 

次回は本作が売れていない理由や、こういうゲームがもはや流行らないかもしれないということについて私見を書こうと思う。