※ネタバレアリ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イース8をクリアしたので感想と採点を。

私はシンボルエンカウントでも原則的に「見える敵は全部倒す」というスタイルなので、いつも平均的なクリア時間より遅い。

今回は真エンディングまで55時間遊んだ。

 

JRPGをこよなく愛する私も、イースシリーズは本作が初プレイとなった。

この8こそがシリーズ最高傑作である、と評する向きも少なくないようだが、正直、これが最高傑作となると、シリーズの他作品にはあまり期待できない気もしてしまった。

それなりに楽しめたし、何よりクリアまで遊べたので、良作には違いないんだろうけど。

以下、良かった点と悪かった点、そして採点を。

冒頭に書いた通り、ネタバレアリです。

 

 

 

  ゲームとしての完成度は◎

 

グラフィック云々は別として、最後まで遊べた。

漂着した無人島から脱出する、というシンプルな物語に、探索、素材の収集と装備の強化、迎撃&制圧戦&夜間探索、といったゲーム要素がうまく掛け合わされていて、キャラを育成しながらそれらを楽しむ、というRPGの王道的基本構成がしっかり詰め込まれていた。

ボリュームも、「大作」と呼べるほどではないが、ちょうどいいだろう。

ゲームとしてしっかり完成された作品には違いない。

11以降のFFが失ってしまったものはこういうJRPGのアイデンティティなのではないか。

 

 

 

  グラフィックの稚拙さが逆に良かった面も

 

和製ゲームの嫌いなところ、それは女性キャラのデザイン。

異様に肌を露出して、胸だの尻だのを強調する。

私はゲームにそういうものは求めていない。

今作ではパーティーメンバー以外の漂流者も含め、女性キャラも多かったが、グラフィックがしょぼいおかげ(?)で、脚を見せるシスター、腹を見せる商人、胸を見せる鍛冶職人がほとんどどうでもいい存在感で、気にならなかった。

 

まあ、これは狙って作ったわけではないだろうけど。

 

 

  シンプルで爽快な戦闘・制約ありのギミックバトルも◎

 

スキルを育てるとたくさんの敵を無双できたり、大型の敵にほとんど何もさせずに「ハメ殺し」できたり、こういう爽快感は確かに味わえた。コマンドバトルでは難しい、ARPGならではの要素だったと思う。

 

環境によって制約があったりする(水中での戦闘とか)のも、単純だが面白い仕掛けだったと思う。

 

 

 

  それにしてもグラフィック

 

しかし、2016年のゲームで、このグラフィックはいくらなんでもレベルが低すぎる。

その10年前の2006年にFF12が出ているわけだから、それと比較しても酷さが際立つ。

キャラの挙動もカクカクしているし、リップシンクなんて概念そのものがない感じ。

 

  意外と多いムービーが冗長・情報量が少なすぎ

 

セリフも無駄が多いし、カメラワークもワンパターンで、端的に言ってムービーシーンの情報量が極端に少ない。

時間がかかるだけで退屈なので、終盤は重要な場面以外は早送りで飛ばしてしまった。

 

  キャラの魅力もイマイチ

 

ここは個人的な趣味も入っているが、キャラクターにイマイチ魅力が感じられなかった。

 

ラクシャ

唯一好きになれたキャラかも。

まっすぐすぎる性格がかわいらしい。妙にスケベな格好をしていないのもいい。

入浴中に出会って裸を見てしまう(ビンタももらう)というのがこれまた2016年とは信じられない40年前のギャグだ。

 

サハド

おならで笑いを取る、というのもラクシャ同様、40年間時が止まっている。

本作の制作関係者、それも結構重要なポジションに、相当年配の人がいると思われる。

なんで漁師が恐竜と戦えるのかも意味不明。

 

ヒュンメル

戦闘でもほとんど自操作にすることはなかった。

思わせぶりだった割に別段謎めいてもいない、変わり者ですらない、気取っているだけのイタいあんちゃんだった。

 

リコッタ

なぜ無人島にいて、かつ生存できていたのか、最後まで言及されないままというデタラメすぎる設定。

RPGのパーティーメンバーに子供がいることは珍しくないが、ここまで雑な設定というのも珍しい。

「御意」などの独特な言葉遣いは、なんか「お約束」という感じで、つまらなかった。

 

ダーナ

ほとんど裸、というのがどうも…

見た目も性格もヒロインとしてど真ん中だと思うが、原画と3DCGのギャップが悲しい。

 

というわけで、本作のキャラはどれも「微妙」という感じだった。

 

 

  オープンワールド「風」なのに、自由にさせない迎撃戦

 

迎撃戦、単純に、面倒くさい。

せっかく探索にいそしんでいたのに、セーブポイントに達する前に呼び戻される。

 

ドギ班の状況報告はうるさいだけで、情報として何の役にも立たない。

戦闘後の評価も何を楽しむものなのか理解できず。

なんだこれ?

 

 

  スキルレベルがなかなか上がらない

 

これは周回やりこみ用なのかな?

自操作で使い続けないと各キャラのスキルがMAXまで育てられない。

私はこの手のゲームは最初から最後まで主人公操作で行くことが多いので、ここはちょっと戸惑った。

 

  COM操作の味方が無能

 

いくら何でも無能すぎだろ。

敵はもれなく操作キャラだけをターゲットに突進してくる。

仲間がおとりにも援護にもならない。役に立たないスキルばかり連発したり。

3人編成を選ぶにしても、自操作以外の2人は無能という点では誰でもいっしょなのでどうでもいい。

 

 

  ダサい音楽

 

今作の音楽を評価する向きもあるようだ。

これはあくまで私の個人的感想に過ぎないし、このブログは影響力皆無だから気にしないで欲しい。

 

少なくとも私にとっては、「なんてダサい音楽だ!」で終わり。

フックがないよ。

ハードロック/ヘヴィメタルが大好きな私だが、例えばかつて「インペリテリ」という知る人ぞ知るヘヴィメタルバンドがあった。ギタリストの超絶技巧とハイトーンでパワフルなヴォーカルが持ち味だったのだが、いかんせん、「ストーレートしか投げられない」という曲調で、じっくり聴くには物足りない作風だった。

本作のBGMもそれに通じるものがある。

 

メインテーマはラスボス戦までアレンジを変えて料理されていて、工夫しているのは伝わってきたが、やっぱり物足りなかった。

 

 

  オリジナリティの乏しさ

 

結局、この作品を貫いているのはこの一言。

表現したいもの、提供したいゲーム体験、という哲学の部分。

ゲームは今やエンターテインメントであると同時に、総合芸術と言っても過言ではないと思う。

アーティストとしての心意気が、本作には足りない気がする。

 

確かに、JRPGの王道が歴史的に築いてきたものがちゃんと盛り込まれている。

だからこそ、最後まで遊べたのだが、すべてにおいて80点なのだ。

それはもとから100点を取ろうとはしていない、FFやドラクエを超えようなどとは初めから思っていないというアティテュードで、「ストライクゾーンに置きに行った」という作風なのだ。

 

当然ゲーム制作もビジネスなのでそれできちんと利益が出るなら、プロジェクトとしては成功なのだろう。

しかし、ユーザーがゲームに期待しているものというのは、それ以上の体験であるはずで、上記のような作風は最新作の10でも同様だというレビューが多いから、この会社のスタンス自体がそうなのだろう。

そこを一歩超えてくれると、好きなJRPGがまた一つ増えそうなだけに、ちょっと残念な気がする。

 

★それでは採点。

イース8の点数は…

 

78点!

良作ではあったのだが、何かと物足りない作品でもあった。

「食えない」のではなく、「食ってもお腹いっぱいにならない」という感じ。

9と10をやろうかどうか、今考え中。