※ネタバレ大いにアリです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サブクエ等もそこそこやって、100時間ちょっと。

クリアしました。

 

先に結論から言うと、RPGとしての完成度はドラクエ11を比較対象にしても良いと思うぐらい、傑出の出来だったと思う一方で、肝心のメインストーリーは「10点満点中5点」という、これまた比較対象が思いつかないぐらい残念な作品でした。

 

以下、良かった点と悪かった点を。

 

 

  探索・育成要素が秀逸

フィールドの作りこみは前2作同様にすごかった。「シティー」の街並みに特に感心した。隠れた洞窟を見つけたり、どうしても埋まらないマップの行き方を考えたり、宝箱(コンテナ)を収集したり、ユニークモンスターを狩ったり…

RPGでやりたいことはまずこれでしょ。

このシリーズの持ち味である探索要素が、膨大に用意された素材の収集やクエストの消化、そしてレベリング等の動機づけとうまくかみ合って、結果的に100時間以上遊ばせてしまう、非常に完成度の高いものになっていた。

2から相続した「休憩ポイントでボーナス経験値を消費してレベルを上げられる」という機能も、他のRPG作品でスタンダードとして採用しても良いと思えるぐらい、バランスの取れた仕様だと思う。

 

  単なる「お使い」にならない膨大なサブクエ

当然お使いで終わる(しょうもない)クエストもあるのだが、それ以上に、内容のあるクエストが多く、好感が持てた。

あまりに膨大すぎていつまでたっても終わらず、メインストーリーが全然進まない、という問題はあったが。

これだけ世界観を堪能できれば、プレイ後の満足度は高い。

 

  たくさんの仲間キャラと豊富なエピソードクエスト

キャラクターデザインはメイン、ヒーローともにとても良い。キャッチーで魅力的な見た目だったし、声優さんも素晴らしかった。

ちょっと影が薄い奴もいたが、おおむねみんな好きになれた。

どのキャラもしっかりバックストーリーがあって、掘り下げ方も◎。

 

 

  一部のキャラ設定とメインシナリオが破綻気味

ストーリー周りに対するツッコミは、ちょっと量が多すぎて書ききれない。

思いつくまま、箇条書きに。

 

・すべてのボス戦がイベント戦闘化

 これは2もそうだったが、同じ敵と何度も戦わされるうえに自分でとどめを刺せないことも多く、「倒した」「勝った」という実感が持てない。倒したはずの敵がHP全開で連戦になったりするのにはうんざり。しかも削り切った後にも余裕かまして瞬間移動で逃げる、というテンプレ演出を幾度となく見せられる。この手法を使い続けているシナリオライターには、何か社内的な不健全な権力バランスがあるのではないか、という心配すら湧いてしまう。

 

・ラスボス戦すらただのイベント

 体力半分削るとムービー、とか、第2・第3形態があるとか、そんなのはRPGのお決まりだから、いい。

しかし、こんなに何度も中断&ムービーが入ると、一番の目的にしてきた最後の闘いなのにテンポが悪すぎるし、プレイヤーの感情が逆に冷めてしまう。しかも後ろに回り込めないのでゲージを貯められず、ラッキーセブンが使えないというクソ仕様。

 さらにプレイキャラを突然ミオに切り替えられてしまい、戦闘中のキャラ変更を今まで全く使ってこなかった自分はどうやってノアに戻すのか分からず、そのままミオでクリアしてしまった。なんだこれ。

 

・闇落ちしたヨラン・エム・エヌの動機が納得できない

 仲間のために命を捨てられるような心優しい少年が、ルサンチマンに狂って無数の命を食い物にしてほくそ笑むクズになるわけない。Nはどう逆立ちしても言い訳できないクズ中のクズ。しかも弱くてダサい。

 

・ユーニの頭に生えた羽が最後まで間が抜けている

 女王メリアなら、衣装の一部のようにも見えるからいいとして、メインキャラにこのデザインはない。

どんなにシリアスなシーンでも、最後まで間抜けに見えた。

 

・子供の名前が「ゴンドウ」って…

 苗字だろ。「権藤」だろ。変だろ。

シティーもエムも彼女に重要すぎるものを託しているが、傍若無人なのは強いからというより反抗期で粋がっているだけで、こんな躾も何もできていないクソガキに何を期待しているのかと呆れてしまう。

 

・敵(メビウス)に魅力がない/メビウスをアルファベットで管理したことについて

 26体も必要ない。どいつもこいつも救いようのない外道であることと、超常的な力を持っていることにうぬぼれた馬鹿ばかりで、キャラクターとしても何重にも被っている。つまらん。

 また、XYZが最後に出てくることが最初に分かってしまう。後からメビウスになったシャナイアの「S」は誰も使っていなかったというのも、なんだかなあ。

 

・XとYの扱い

 26体のうち特別にプレイヤーにハラスメントを繰り返したXとYが、ラスボス直前に連続して出てきたうえ、芸もなく撃破された後これまでの激長ムービーが何だったのかと拍子抜けするぐらい何のイベントもなく先に進む。これは何がしたかったんだろう?

 

・女王として前2作のキャラを無理矢理登場させた

 これがシナリオ設定として最大の問題点だったと思う。

 しかもエンディングで、異なる世界線のキャラではなく、1と2の登場人物であるメリアとニアそのものであったことが分かるので、余計にめちゃくちゃになってしまった。

 

・納得いかない結末

 女王、これニコニコ笑いながらできることか?

 シティー代表のモニカ&ゴンドウ親子も自分たちを含めこの世界のすべての人が一度消滅する、ということをなぜ簡単に受け入れられるのだろう?自分は良かったとしても、他の人は?

 悲劇の輪廻を断ち切るには虚構の世界の自分たちが消滅することを選択するしかない、その結果ノアとミオは離れ離れに…というのは、実はFF10のティーダと同じではないか。無理して真似した気もしなくもない。

 

 

  一部UI

 

前作に比べてUI周りは格段に良くなった。

とはいえ、ウロボロスのスキルツリーとアクセサリは改善の余地が大いにある。

スキルツリー、なんでロックかかっているやつまで光るようにしたんだろ。

後半になるにつれ、どれが未開放なのか識別できなくなっていく。

あと、アクセサリ。正直、名前が同じで効果のレベルが違うものを複数作る必要はない(これは他のRPGに対しても、いつも思う)。種類がものすごく多くて、これで戦略の幅が無限に広がります、と言いたいのだろうが、クラスチェンジする度に付け替えなければならないし、管理が面倒くさすぎる。

何種類かアクセサリのセットを登録できるようにするとか、必要な物だけ表示するとか、表示内容にフィルタがかかるような仕組みが欲しかった。

※アクセサリをこれ以上増やして管理を面倒にしたくないので、また、宝箱や敵からも回収できるので、ゲーム中ほとんど買い物しなかった。このゲームにおける「お金」の必要性って?

 

 

  ギミック開放する度にいちいち挟まる演出

 

梯子とか、ワイヤーとか、投下物資とか…、その他、フィールド上のギミックを開放する際に挟まる演出が冗長で邪魔。

 

 

  チェインアタックの演出でテンポが悪くなる戦闘

 

なぜ学習しないのだろう?

これまで数多のRPG、それこそFFなどで、散々繰り返されてきた失敗ではないのか。

FF7~10を今やると、召喚獣演出で最悪のテンポ感になる。

リマスター版ではショートカット機能が実装されていることからも分かるように、あれらの演出は一度見たら十分なのだ。

ダメージ計算の都合上、一瞬では処理しきれなかったのかな?

まあ、シリーズ通じて、戦闘のテンポは非常に悪い部類に入るが、それにしても…

 

 

  ムービーゲーなのはいいとして

 

無駄な演出やセリフが多いし、回想シーンにも頼りすぎ。

回想シーンが多いのはシナリオの出来が悪いからと断定してよい。

ムービーゲーなのはこのシリーズの作風だから受け入れるとして、そのムービーがアニメ作品としてもただの冗長なものでしかなく、もっと映画を見て勉強した方が良いのでは?と意地悪を言いたくなるほど出来が悪い。

だんだんプレイヤーにエモーショナルなゲーム体験を提供する、というよりは、作り手の「こんなすごいもの作ってやったぜ」というエゴが見え隠れするようになり、ラスボス戦の途中からエンディングへの興味が削がれてしまった。

こんな作品もあまり記憶にない。

「すばせか」ですらラストはもう少し見ごたえあった。

 

 

  採点

 

さて、ゼノブレイドシリーズ。

3作やりました。

どれも光る要素は確実にあるし、JRPGの代表格と言っても良いと思う。

しかし、このままの作風で行くなら、4はちょっと期待できないかな。

前2作の問題点を大幅に解消したとはいえ、ゲーム自体の設計思想がイマイチ。

膨大な人と予算が絡んでいる上に、売れるゲームにしなければならないし、難しいのは間違いないだろう。

しかし100時間プレイして何を得るのか、プレイヤーの期待は他のエンタメと比べてもかなり大きいはず。

結局のところ「ムービーゲー」を卒業しないと続きはないと思うのだが、どうだろう?

 

それでは、採点。

 

ゼノブレイド3の点数は…

 

85点!

何度も言うようにRPGとしての完成度は極めて高く、それだけなら90点あげてもいい。

100時間しっかり遊べた作品でした。

しかし、RPGの肝心の要素であるストーリーが残念過ぎるのと、ムービーゲーであるにもかかわらず、その出来が悪い(グラフィック、という意味ではなく、ムービーという手法でしか伝えられない情報やプレイヤーの感情へのアクセスになっていない)という点が致命的。

楽しめたけど、心に残るかと言われたらそこまででもない、惜しい作品でした。