評判の非常に高い作品だったので、プレイしてみた。
以下、ネタバレ含むのでご注意を。
さて、それでは項目別に感想を。
【音楽&グラフィック】
文句なし。ストーリーの残酷さ「ゆえに」というべきか「裏腹に」というべきか、とにかく優しくて、美しい。
浮遊感漂う女性ヴォーカルが心地よく、いつまでも聴いていたくなる。
歌詞が何語か分からない=何を歌っているのか分からないのも、この不思議な世界観に逆にハマっている。
森や砂漠や川。そして廃墟。
廃墟がなぜこんなに美しいのだろう。
ゴーストオブツシマのときもそうだった(あれも「残酷さ×美しさ」が際立っていた)が、やはりこういう3D作品は、風景の描写が作品の肝になっている。
この世界への没入感という意味でもそうだし、思わず見とれてしまうような体験が、移動やレベリングといった「作業」を楽しいものにしてくれる。
いたるところで野生動物がのんびり昼寝していたりする描写も、人間とエイリアン、機械生命体とアンドロイドの戦争とは全く無縁の世界が同じ場所に存在していることを常に思い出させ、無機質で殺伐とした気分をちょっと安心させてくれて、地味ながら良い効果をもたらしている。(その野生動物を殺して換金用の素材を回収できる、というのもシュール。)
【ストーリー】
1週目だけなのでまだ何とも言えない。
たぶんこういうことになるだろうな、と思ったところは大体予想通りだった。
難解なように見えて分かりやすさもある。
実存主義哲学者のサルトルやパスカルといった名前が出てきたり、アダムとイブが出てきたり。(アダムの体からイブが出てくる、というのもそういうことだろう。)
アンドロイドや機械生命体が「人間とは何か」という哲学的問いを発する、というテーマは、取り立てて目新しいものでもない。
「人間とは何かを問う者こそが人間だ」という、これまたありふれた回答が、このストーリーにはしっくりくるのかも。
作品中にちりばめられた他の要素も同様。
①アンドロイドの名前
数字とアルファベット。要するに、固有名詞ではない。
これがニックネームになればそれは固有名詞(誰かとの関係性を含んだ呼称)になるわけで、9Sを「ナインズ」と呼ぶことを拒み続ける2B、というのは、名前というアイデンティティと他者との関係とを拒んでいるわけだ。
2B「さん」は不要だ、というやり取りも同じ。敬称=関係を含むから。
ちなみに、「トゥービー」は、「to be」の掛詞なんだろうか。
「to be ○○」に、いろいろな言葉を当てはめることで、「それこそが人間の条件だ」という解釈が成り立つ。
たとえば、2Bにとって9Sは最終的に大切な存在になったわけで、「to be with you」みたいに捉えても面白い。
誰かを愛するようになって人間になる、というように。
②2Bと9Sが常に目隠ししていること/2Bが感情を抑制していること
名前と同様、「顔(目)」もまた、アイデンティティや人間の条件の象徴ではないか。
あるいは、真実に対して視界をふさがれている、という被造物の悲哀なのかも。
他のアンドロイドは目隠しもしていないし、結構感情的だったりするから、任務だけを忠実にこなそうとする2人だけが目隠ししているというのは、文字通りのロボットとして、自分の意志を持たない(持ってはいけない)ということの印かもしれない。
最後に目隠しが取れ、2Bが涙を流すシーンがあるが、「to be emotional」も人間の条件であるとすれば、それらすべてが目隠しの意味だとみなすことは、比較的容易だと思う。
ちなみに、2Bの顎にほくろがあることなんかは、アンドロイドと言えども個体ごとに個性があることを示していて、差異や多様性もまた人間の条件であるという示唆かもしれない。
③記憶
アンドロイドたちは、データがあれば死んでも再生できる。
要するに、記憶こそがアイデンティティであるわけで、アンドロイドの体から機械生命体の体になっても、記憶だけは保存された9Sは「生き残った」と言えるわけだ。
物語の最初と最後で9Sの記憶(2Bの表現では「今の君」)に関する話題が出る、というのもそういうことなのだろう。
周回プレイでもっと掘り下げたいが、視点は、2Bと9Sだけなのだろうか?もしかして、A2もあるか?
【ゲーム性】
周回プレイでゲームシステムが変わる、というのは斬新で面白い。
少なくとも私が今までにやったゲームでは、こういうのは初めてだ。他に同じような作品ってあるのかな?
ストーリーや世界観の魅力を味わい尽くすためのアプローチとして、これまた独創的だと思う。
逆にこれがなければ、ボリュームは少ないし、RPGとしてもアクションゲームとしてもシューティングゲームとしても何もかも中途半端な凡作だっただろう。
全体としてはバランスが取れているが、一つ一つのゲーム要素を見ると、作りが丁寧な割にあまり面白くない、というのが正直なところ。
不満点やストレス要素は実はふんだんにある。
(ただし2周目以降でまた評価が変わる可能性はあるが。)
まず、癖のある3Dマップ。
直線的には近くにあっても、障害物や崖などで通れなかったり、廃墟の景色が単調なので自分がどこにいるのか分からなくなったりして、結局目的地にたどり着けないまま同じ場所をぐるぐる回っているだけ、なんてことも。
これのせいで完走できなかったサブクエもたくさんあって、なんかモヤモヤ。
次の戦闘。
アクション苦手な私でもボタン連打のゴリ押しで十分立ち回れるのは良いのだが、あまりに単調すぎ。
倒した敵が爆発して散らばり、ネジ(=お金)が自分のところに集まってくる、というのはラチェット&クランクで既視感が。
直前にアクション特化のラチェットで遊んでいた分、なおさら物足りなさを感じた。
寸前回避が超高性能(なんでも避けられる)なのと、敵の弾幕(不思議な赤い球体)が画面を埋め尽くしても3Dの当たり判定であまり被弾しない、さらに回復量が定数ではなく割合になっている回復アイテムが低価格で買い放題(オート使用の機能まである)、ということなので、難易度ノーマル程度なら戦略性はいらない。
敵の射程距離の外からひたすら遠距離攻撃、というのが最もリスクの少ない確実な攻め方だったりするのはどうなんだ?
その他いろいろ以下箇条書きに。
・武器やスキルの成長要素もあるにはあるが、あまり効果が実感できない。
・装備は最初から持っている武器が結局一番強くて使いやすい。
・真横や真上の視点に切り替わると、操作感の違いにストレスを感じたり、小さすぎて何が起こっているのか視認できなかったりする。
・シューティングパートは敵の弾をよけるには自機がのろまでちょっとイライラする。
・敵も無表情な同じ顔のロボットなので、正直飽きてくる。
・サブクエやミニゲームがとにかくつまらない。あとハッキングの変なシューティング要素も。
もうちょっと考察を深めたいのだが、クソ仕事に出勤する時間となったので、ひとまずこの辺で。