※ネタバレアリ

 

 

 

 

 

 

たぶん今、中盤から終盤に差し掛かるぐらいなのではないかと思う。

 

ベルベットの故郷の村を訪ねるところまで進めた。

シナリオ、かなりいいと思う。

 

一度幸福な夢を見させて、再び奈落へ突き落す、持ち上げて、落とす、というえげつない仕掛け。

これは素晴らしい。

この物語において、アクロバティックに様々な効果をもたらしている。

 

・プレイヤーに「本当のベルベット」を愛しく思わせる

目的のためなら誰でも利用し、必要であれば殺すこともいとわない非情の戦士が、元は誰からも愛される普通の村娘であったこと、心から愛する親友と弟がいたこと、そしてそれらを理不尽に奪われたこと…

だからこそ「愛らしい村娘」は「復讐の鬼」にならざるを得なかったのであり、ゲームのプレイヤーは「ベルベットを幸せにしてあげたい」とか「復讐を達成させたい」とかいった思いを新たにして、後半に突入することになる。

 

・ベルベットの本来の人間性と背負っている過去を仲間たちが理解する

仲間たちが互いを理解し合ううえで、「過去の描写」の扱いが問題になる。

偶然知り合った者同士で、すべてを各自の口から語らせるわけにもいかないので。

(FF12はこの描写がほとんどなかったのがシナリオ失敗の一因だと思う。)

 

たとえばドラクエ11だったら、命の大樹の根が出ているところで仲間の誰かが経験した過去の映像をパーティーが目撃できるようになっている。たとえばカミュが妹とどのように暮らし、別れることになってしまったのか、それは本人の口から語られるのではなく、仲間たちが追体験して理解する、という仕掛けになっている。

今回の「敵の術による幻覚で本来のベルベットと彼女が失ったものを仲間たちが体験する」という仕掛けもそれに近いが、ドラクエより直接的でない分、フックがきいていると思う。

 

・親友の飼い犬が喰魔になる/弟の写本が逆転のきっかけになる、という伏線回収

加えて、「味が分かる」という点から術を見破る、という構成も秀逸。

一本道でありながら群像劇的かつ断片的に進んできたエピソードが、大きな一本の道にきちんと結び付けられている。

 

・敵対する聖寮(アルトリウス、メルキオルら)の強さや非情さを再確認させる

相手がとにかく憎たらしくてそのうえ強い。

打倒すべき相手をそういう方向性できっちり描いておくことは、特にゲームのシナリオにおいてはやはり重要だと思う。

これも、FF12のように「単なる勧善懲悪ではない」というような複雑なつくりにするよりも、ゲームとの親和性は高い。

徹底的に追い詰められる主人公が、その鎖を断ち切って覚醒し、目的を達成する(=ラスボスを倒す)という流れにプレイヤーをしっかり引き込まないと、何のためにボタンを連打しているのかよくわからなくなるからね(笑)。

 

・過去と決別し「復讐の鬼」としての生き方を貫く「孤高のダーティー・ヒロイン」としての覚醒

メルキオルの術を破る=幸福の中にとどまることを拒否するということであり、それは現実の容赦ない理不尽を受け入れ、どんな悲劇が待っていようとも必ず復讐を果たす、という決意を新たにする、ということだ。

ここでついに揚げ足取りばかりしてきたニヒルな魔女・マギルゥも、ベルベットの強さを素直に認めることとなる。

後半に突入するにあたり、パーティー同士の関係性や主人公の立ち位置にきちんと変化や刺激が与えられているというのは、結構緻密に計算されていて、隙がない。

※付言すれば、前半ではライフィセットの成長が関係性に変化をもたらす仕掛けになっていた。

前半から後半へのさりげない、しかし重要な切り替えも、きれいに成功していると思う。

 

これまでに遊んだテイルズシリーズ(アライズ、ヴェスペリア)のシナリオの中では、少なくともこの中盤の作りは、一番よくできていると思う。

ヴェスペリアは登場キャラが多すぎて散らかり気味だったのと、ファンタジー世界を成立させている神秘的な力の原理が複雑すぎて、途中からどうでもよくなる感じがあった。

アライズは、良くも悪くも王道で分かりやすかった。終盤がくどかった、というのも否めない。

 

他に、本作がユニークだと思う点は…

仲間と言えどもなれ合いのない、緊張感のある関係性

互いに悲劇的な宿命を背負う者同士が、利害の一致により「世界の敵」としてともに旅をしている。

一瞬そんなことを忘れさせるようなほのぼのとした会話があったかと思えば、同情や共感によって慰め合うような甘さは見せない、という厳しさも徹底している。

これもまた、うまくバランスが取れていて、「やられた」という感じがする。

 

スタート地点を拠点にして何度も行ったり来たりするワールドマップ

世界崩壊からの2周目、というのはRPGあるあるだが、何度も同じ場所を行ったり来たりするこういうワールドマップもアリだと思う。

 

独創的な戦闘システム

コンボが気持ちいい。

極めるのは大変だが、そこまでの「武闘派」でなくても十分楽しめる。

経験値などの計算方法も独特。

強い敵が乱入して来たりするのも悪くない。

アクションRPGの形としては、一つの到達点とみてよいのでは。

 

確実に減点要素になると思うところも。

・移動が面倒すぎ(スケボーみたいなやつ、いらないから普通にダッシュさせてくれ)

・ダンジョンのギミックが単純すぎ

・同じ名前で性能が異なる武器の管理が面倒すぎ(←これは本当にきつい)

・武器強化のための素材が足りない

・もっと強い武器が手に入ったのに武器スキルを身につけるまで交換できない

・ブラコン、シスコン祭り

→自身が業魔化するほど過剰なベルベットのブラコンだけでもお腹いっぱいになるのに、アイゼンやオスカー&テレサのシスコン、ブラコンを重ねてくるのがどうも解せない。対象年齢が低いといっても、単に砂糖を追加投入して甘くするだけではせっかくの素材も台無しになるというものだ。

同様に外見や性格まで弟にそっくりなうえに名前も同じ、という「代理弟」しかり、母を失ったモアナと娘を失ったメディナのマッチングしかり(不覚にもメディナがモアナを抱きしめるシーンでホロっと来てしまったが)。