※ネタバレアリ
ずっと解放されていなかった「宮下公園」というマップ。
ここが解放されたということは、すなわち、RPGの伝統で言うところの「ワールドマップ」が完成したことになる。
今作では、「渋谷」こそが「全世界」。
非常に、今っぽい。
渋谷を崩壊させることは、全世界を崩壊させることであり、同様に、渋谷を救うことは全世界を救うことに等しい。
主人公たちは都会で暮らす普通の若者たちだからいいとして、「死神」を名乗るものが志低すぎないか?
シイバはさしずめ歓楽街のホストみたいなものか。
この町のてっぺん取ったる、みたいな。
だったら「龍が如く」の方がスケール感があって、ヤクザの方がよっぽど死神らしい。
ワールドマップを開放するまでのストーリーが第一部、その後世界の崩壊などのフックで一本道が箱庭状態になり、サブクエ全回収&ラスボス討伐へと進むのが第二部、これがRPGの王道だろう。
渋谷を全開放した後は、リンドウ君のタイムリープ能力により、マップではなく時間を移動するストーリーに。
そのため彼は一時的に記憶喪失になります。
う~ん。苦しいね。
あとこの作品、前作未プレイでもOKと書いてあるレビューがほとんどだったが、肝心なところが所どころ抜けていて、前作の内容を知らないとちゃんと理解できないところがある。
前作から継続出演のキャラがパーティー内に2人いるし、「新宿」と「渋谷」の関係もよくわからん。
結局「死神」とは何者なのかとか、目的が何かとか、そういうこともわからん。
とにかく新しいバッジはもれなく育てる、ということでエンカウントしまくった結果、残り5分の1程度のことろでレベル75に到達。
ボスが、弱すぎる。
15連戦に耐えるだけの体力をつけさせたので、ボス戦はもうボタン連打で圧勝。
このバランスも微妙だ。
まだクリアしていないから点数は付けられないが、すごく実験的な作品だと思う。
RPGの新しい表現や可能性、仲間全員を同時に操作する戦闘システムを探求した、かなりユニークなゲームに仕上がっている。
メンバー1人1人に特殊能力や属性が付与されているというのは、今年遊んだテイルズオブアライズやペルソナ5にも共通して見られた仕様で、アライズに至っては戦闘のみならずフィールド移動時にも、ある種のギミックとして機能していた。
本作でもそれは「サイキック」として、ストーリー進行上の仕掛けになっている。
これまた斬新、ではあるのだが、結局のところ誘導に従ってボタンを押すだけだから、面白くはない。
あらゆる点において、1本道にならざるを得なくなっているのは、「渋谷」という街をワールドマップとして、3週間にわたって死神ゲームをサバイブする、というストーリー上の設定が、ゲーム性を伴って実現するにはあまりにも難しいものだったから、と言えると思う。
この難しい制約の中でも光るものをしっかり持った作品を生み出したのは、さすがスクエニ、といったところか。
令和のRPGということで、間違いなく対象年齢は低い。
ファミコン時代からFFで育った古参ファンだけでなく、生まれたときからスマホやタブレット・超美麗なCGと洗練されたUI、こういうものに首までどっぷりつかって育った新しい世代を取り込むには、こうしたチャレンジも必要なのだろう。
ストーリーや会話は、これまでに指摘した通りあまりにも幼稚で、これが多くの人に普通に受け入れられるとすれば逆にいろいろなことが心配になるレベルだと思うが、タイトル画面が出る前の注意メッセージで、子供と保護者向けの文言が出ていたから、そういう年齢層も想定されているということで、大目に見ようと思う。
どうも巷のレビューが過大評価なのではないか、というのが私個人の感想だが、考察しがいがある作品だとは思うので、2021年最後にプレイしたゲームとして、残りをやっていこうと思う。