最後にキャラとストーリー、そして戦闘について。

 

●キャラクターの魅力

アニメ風のキャラクター、正直まだあまり好きな雰囲気ではない。

パティは最後まで好きになれなかった。

これも何度も言うように、「そんな奴いねえよ」で終わりだ。

 

しかし、一方のカロル君は、良かったじゃないの。

素直で、一途で、自分の弱さと向き合い、悩む少年。

彼に対するユーリも、兄貴分として理想的なかかわり方をしている。

それによってユーリの男としての魅力(「男の子」を育てられる男であること)も際立っている。

決してカロルを子ども扱いせず、ギルドのボスとして、自分で判断させる。

「カロル先生」と呼ぶのも、年齢差もあるカロルを一人の人格として尊重している証拠のようにも思う。

当然子供であるカロルにはまだできないことがあるが、その時は自分が体を張って助ける。

ドンの死後、カロルが「大人の責任」から逃げだしそうになったときも、一喝して突き放しつつも、彼の成長を信じ続けた。

 

テイルズの魅力の一つは「スキット」も交えたキャラクター同士の関係性の深堀りだろう。

これは、他のRPGにはありそうでない、テイルズのアイデンティティであろう。

 

この「関係性」の変化や成長の物語として楽しめたのは

・ユーリ×カロル

・ユーリ×フレン

・リタ×エステル

 

ユーリとフレンの「正義」をめぐる考えの違い、あるいは法と国家に忠誠を誓う騎士団と、組織に属さずに行動するギルドの立場の違い、それらを乗り越えて互いの力を認め合う、そんな二人の友情物語は熱かった。

こういうのはベタでいい。

いや、ベタがいい。

FF5の「ビッグブリッジの死闘」よろしく、背中を預け合いながら大量の敵と戦い続けるイベントと、その後の一騎打ち。

コマンドバトルだとこういう描き方はできない。

とても、良かった。

 

天才であるがゆえに孤独でもあったリタ。

ちょっと天然なお姫様、エステルが、何も考えずにグイグイ間合いを詰めてくるのに戸惑いつつ、友達ができてうれしいと思っている。

プライドが高いから素直にそうは言わないが、一貫してエステルを心配し続け、大切な友達が傷つくのを放っておけない、と必死になる姿もグッとくるものがあった。

 

声優さんのうまさと、モーションキャプチャーの技術で、キャラそれぞれの魅力は本当によく描かれていた。

戦闘終了後のちょっとした会話や動作もいちいち凝っていて、面白い。

お気に入りは、

・力任せにハイタッチするカロルに、「痛いぞ、カロル…」とつぶやくユーリ。

・エステルとリタのハイタッチ「やるわよ」・「やりました」・「やったわね」。

・ジュディスとレイヴン「火傷するわよ」「俺様はもう真っ黒焦げ」。

 

●ものすごいボリュームとラストの盛り上げ

正直、こんなに長いと思わなかった。

長すぎる、とすら思った。

 

序盤から中盤にかけてのちょっと強引/ご都合主義的な展開はクサすぎるものを感じたが、RPGのシナリオとしては、非常にバランスが良かったと思う。

「正義を貫くRPG」というコンセプトも一貫性があった。

「政府の要人を暗殺したことを仲間に黙ったまま旅を続ける」…描き方によっては重くなる話が、作画の柔らかさも手伝ってうまく中和されていた。

そこにフレンとの友情やヤクザ組織としてのギルド、エンテレケイアの存在、ブラスティアとエアルの謎、人魔戦争の遺恨…様々な要素が掛け合わされて、一つの物語が練り上げられていく。

最終的にはすべての「小さな物語」が回収され、ラストダンジョン&ラスボスに至る「大きな物語」へと昇華していた。

 

●ついでにちょっと分析、各キャラの役割

各キャラクターがそれらの物語を統合する役割を果たしていたのは間違いない。

◆エステル=帝国の皇帝候補/満月の子/エアルを自在に操れる

ギルド以外の物語全体に深くかかわっている、一番重要なキャラ

※「満月の子」の末裔でありながら、その歴史がなぜ先祖から伝えられていないのか。

これはアライズのシオンについても同様。

フェローに「毒」呼ばわりされながら、実は世界を救うために必要な存在だったし。

この辺り、エンテレケイアがやたらと全知全能感を押し出してくる割に、イマイチ。

 

◆カロル=ギルドの物語

ギルドの「掟」もまた、「正義」をめぐる一つの軸だった。

ドンの死に様が象徴しているように、ギルドはヤクザ同然の無法者の世界であり、それこそが大人の男の世界だ。

その入り口で自分の弱さと向き合いつつ、少年が大人になっていく姿も一つの物語になっていた。

 

◆リタ=ブラスティアとエアルの謎

正直、リタの説明はほとんど理解できなかった。

というか、無理矢理すぎて理解しようという気にもならなかった。

ここまでブラスティアとエアルの話を細かく説明する必要はあったのだろうか?

ただ、これがないと人魔戦争についても、エンテレケイア、アレクセイ、そしてデュークの動機も成り立たないから、理屈を説明する「天才魔法使い」は必要だったのだろう。

 

◆ジュディス=ブラスティア文明とエンテレケイア、そして満月の子の謎をつなぐ

19歳という年齢設定がよくわからない。

どういう経験を積むと二十歳前でこんな完成された大人の女になるんだ。

エンタメにお色気担当は必要(必須?)なのかな。わからんが。

ジュディスの存在によって、エアルを枯渇させてしまうブラスティアの問題と、それを阻止しようとするエンテレケイアの動機、そして満月の子であるエステルの謎、それぞれの物語が結びつくことになる。

個人的に、昔から知っていた久川綾さんがCV担当だったのが感慨深い。

 

◆レイヴン=人魔戦争(&デューク)の歴史+帝国騎士団上層部とユニオン両方に所属していること

※一番違和感があったキャラ。FF10のアーロンにパーティー内での立ち位置も見た目も似ている、と指摘したら、一度死んでいる、というところまで同じだった。

・登場人物や組織が多すぎたこと、それゆえ横に横断的にかかわれるキャラが必要だったこと

・ブラスティア文明とエンテレケイアの戦争(+その英雄デューク)についての証言が必要だったこと

・エステルを誘拐する「裏切り者」が必要だったこと

・パーティーのバランスとして「オチ」や「ガス抜き」ができる三枚目キャラが必要だったこと

物語を展開するためのこうした要求すべてに応えるために作られたキャラ。

一人の人格にすべてが担えるはずもなく、それゆえ「シュバーンとレイブンは実は同一人物」というぶっ飛んだ話にせざるを得なかった。

また、そのことが判明したのちも、ゲーム上は育成したからにはいなくなってしまうと困る、ということで戻ってくる。

なぜかこの裏切り者を、あっさり受け入れてしまうユーリ達。

 

◆フレン=正義の物語の対立軸

※正直、出たり入ったりでゲーム的には面倒くさい。

 

犬は、どうでもいい。

もしいなかったとして、ストーリー的に何か問題になるかな?

むしろどの物語にもかかわっていない、言葉をしゃべらない、という属性によって保たれているバランスがあったのかも。

 

当然、主役のユーリは「正義を貫く」という役割を担っている。

それは、このパーティーメンバーと、その他たくさんのサブキャラ達がお膳立てした世界で、自信の信じる道を貫く、ということだから、舞台が整えば、あとは思うままにふるまうだけで良い。

困っている人を助ける、悪党をやっつける、それが「正義」のユーリが主人公なのだから、プレイヤーがそこに乗っかるのは造作もないことだ。

とことん、ヒーローになり切ればよい。

よくできたゲームであり、よくできたシナリオだ。

 

●最後まで慣れなかった戦闘・でも奥は深い

アライズもね…

コンボを決めて敵に何もさせない、っていうのを目指すものなのは分かった。

回復はほぼオートだから、攻撃に専念すればよい。

技の種類もたくさんあって、極め甲斐もあると思う。

 

しかし、技とスキルが多すぎよ。

これで敵の種類や属性や間合いやタイミングを考えるとなったら、無限の組み合わせがあるわけで、ちょっと面倒くさすぎる。

 

あと、左スティックの上でジャンプ、っていうの、やめてもらえんか。

画面奥に移動したいのに、勝手にピョンピョン飛んでいて、「違うっつーの!」って何度も叫んだ。

同じボタンに複数のアクションが割り当てられているものだから、誤作動は避けられない。

こうなると、FF7Rが半コマンドバトルを採用したのもうなずける。

 

攻撃したい敵が一直線上の「軸」にそろわないとうまくヒットしない、っていうのも、後半になってやっとわかった。

もっと細かいチュートリアルとか、練習モードがあっても良かったと思う。

 

それから、敵のHP多すぎるって。

 

●さて、それでは採点!!

 

テイルズオブヴェスペリア、私の採点は…

 

83点!!

 

アライズの方が面白かったが、これはこれで、テイルズの歴史、JRPGの歴史、あるいはアニメ的表現の面白さに触れることができた、充実したゲーム体験だった。

 

これにて、ヴェスペリア日記は終了です。