さて、クリアもしたところで採点、といきたいところだが、その前に本作の採点の難しさについて。
●過去作ゆえの技術的制約と歴史的意義を考えること
FF7やFF9のオリジナル版を今やると、RPGの歴史を知ろうという目的意識のない人からしたら、「ひどいグラフィックだな」という評価になるだろう。
FF7には「ゴールドソーサー」というゲーム内テーマパークがあるが、そこに出てくるミニゲームは粗末なポリゴンでできている上に操作性も最悪で、いったい何が楽しいのか、こんなもので金をとるなんて考えられない、と怒り出す人もいるかもしれない。
FF9も、描きこみは見事だが、2Dの絵の上を3Dキャラが拡大縮小しながら移動していき、結果的に立体的に見える、という「インチキ」に、げんなりしてしまう人もいるかもしれない。
しかし、これこそが当時の技術の最先端であり、2Dと3Dを組み合わせてハードの限界を目指した、前人未到の挑戦だったのだ。
以前も書いたが、そこには、作り手のファンタジーがプレイヤーのファンタジーと共鳴し合う、ある種のロマンがあった。
ゲームという表現方法がその時点で到達しうる最高のファンタジーをともに体験する、というロマンが。
「最後のファンタジー」というブランド名そのものが象徴しているように、美しくドラマチックな音楽と練りこまれたストーリー、オリジナリティあふれる戦闘と気合のこもったムービー演出。
ハード面での限界はプレイヤー自らのファンタジーで補いながら、作品に込められた想いを受け止める、最高のエンタメだった。
その歴史を追体験することの価値を考えるなら、FF7や9のオリジナル版を、2021年の今プレイする価値は十分にあると思う。
ただし、それは経験に対する主観的な価値でしかあり得ない、「私にとっての価値」である。
採点という客観的数値化は難しい。
同様に、今回遊んだテイルズオブヴェスペリア。
これをどう評価したものか。
テイルズシリーズを全部遊んでいるわけでもなく、アライズが初テイルズの私が評判を聞いて次に手を出した、というだけだから、シリーズの歴史における意義、というのを語ることはできない。
アライズとの共通点は多々あり、これが伝統なのかとも思ったのだが、それもどうだか分からない。
JRPGの傑作のひとつ、ということはできると思うが、のちの作品群にはどの程度影響を与えたのだろう?
ドラクエ11には影響を与えていると思うのだけど。
13年前の作品というのがそれほど大昔のアーカイブではない、しかしこの13年間で飛躍的に進化したことも確実にある、それをどうとらえるか。
「ファミ通」のレビューの採点は、「小遣いの投資先としての魅力度」でもあるから、新作同士を比較した際の相対的得点、ととらえることもできる。
考えれば考えるほど、過去作に点数を付けることが果たして可能なのか、という気もしてくるのだ。
●ヴェスペリアの場合 ①グラフィック
PS3というハードにどこまでグラフィックの美しさを求められるのかも、分からない。
PS4で遊んでいる私にとっては、はっきり言って物足りないグラフィックだったが、全体を通じて作風は一貫していたし、城もダンジョンも、この作風としては美しく統一されていた。
ダンジョンのギミックなども、とってつけたような「浮いた感じ」もしなかったし、自然に周りの風景に溶け込んでいて、しかもダイナミックに動くから、見ごたえは十分にあった。
これがハードの限界に挑んだものか、と言われても、よくわからない。
確か「ゴッド・オブ・ウォー」はPS3の作品があったかと。
あっちの方がよほど迫力があると言える。
なぜ2009年にこのクオリティのCGだったのか、それが分からないので評価もできない。
●ヴェスペリアの場合 ②音楽
ならば音楽は?
ボニーピンクのテーマ曲は、これまた良さが分からん。
正直私は、2000年代以降のアニメの主題歌がほとんど好きではない。(ほとんど知らないくせに言うのもなんだが)
本編との関係がよくわからないような歌詞だったり、やたらと暴れまわるメロディー&リズムだったり。
何を表現したいのか、どんな演出がしたいのか、端的に言ってロマンが足りない。
ルパン三世のテーマのような「名曲」は、もう生まれないのだろうか。
BGMは全体を通じて可もなく不可もなく。
邪魔にならない程度にシーンに溶け込む曲調で、悪くはないが、正直ほとんど覚えていない。
FFのようにサントラを買って聴きこみたいとは全く思わない。
ストーリー重視の割に、演出面がそっけない(エンディングもしかり)というのは物足りない気がする。
●ヴェスペリアの場合 ③カメラワーク
固定されたカメラワークについては、PS4の自在にカメラを動かせる仕様に慣れていると正直ストレスに感じる面があるが、うまく座標ごとのカメラの角度が決められていたことと、画面の中心にピントがあって、プレイヤーが気づかぬ程度に自然に見るべき情報だけが目で追えるようになっていたことなど、調整は丁寧にされている印象だった。
このあたり、アライズにもさらに応用されたもの(遠近法の技術)が使われているそうだ。
テイルズのこのカメラワークへのこだわりは、素人には言わないと気づかれないかもしれないほど地味だが、とても重要なポイントだと思う。
付言すると、この手のカメラワークは作品ごとに「癖」があり、どんな作品をやっても慣れるまではしばらく苦労する。狭いところに行くとカメラが寄りすぎたり、障害物で見えなくなったり、あと、単純に目が疲れたり。自然にストレスなく遊べるということは、プレイヤーには気づかないところでの、相当綿密な調整と3DCGの技術が組み込まれているはずなのだ。
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あとは、戦闘とストーリーということになると思う。
私が思うに、テイルズはやはりドラクエ・FFのような「開拓者」ではない。
開拓された道の上で、老舗とは別の提案をするのが肝であり、高度なゲームバランスこそが売りなのである。
それらを総合的に考慮したうえで、あくまで私自身がプレイしてみて得られたものの価値を、他作品との比較の上で主観的に数値化する、ということになるだろう。
肝心の点数は、次回。