行列に並んで食べたものにはその価値があった?
これまでの私の経験上、それは真ではない。
30分も1時間も並んで買うほど特別な食べ物なんてそうあるもんじゃない。
ある種の社会心理学的な効果が生まれているのだろう。
ファッションの「流行」も同じかな。
しかし映画や本やゲームは、経験に対しての評価だから、合う合わない・好き嫌いはあるかもしれないが、ひとまず目を通してみる価値はある。
最終的には自分の目で判断すべきものだが、ひとまず目を通すことによって、なぜ評判がいいのか、自分はどう感じ、どう考えるのか、じっくり検証して自分の感覚を鍛えることができる。
作り手の感性や情熱、同じものを違った視点で解釈する他者の感受性、そういうものに触れられるのは、純粋に価値ある経験だ。
と、言ってはみたものの、私は「君の名は」とか「鬼滅の刃」といったメガヒット作品は見たことがない。
買いっぱなしで読んでいない本もたくさんある。
あと、正直に白状すると、村上春樹作品を一度も読んだことがない。
映画や本やゲームって、時間=コストがかかるのよね。
集中力やちょっとした辛抱が必要。
情報過多の時代においては、これら全部に目を通すのはキャパシティ的にしんどい、というのもある。
昨年からコロナのせいで外出が容易にできなくなり、引きこもり生活にはゲームが最高に相性が良いため、どっぷりゲームの沼にハマっている、というのが現在の私だ。
して、テイルズオブアライズ。
概ね評判は良く、人によってはシリーズ最高傑作、神ゲーと推す声もあった。
最近のゲーマーは目が肥えているから、こうした評判があるなら、とりあえず手を出してみたい。
私にとっては今回がシリーズ初プレイになった。
シリーズは25周年、ということだが、25年前、私が中学生だったとき、同じ野球部に所属していた友人のK君が遊んでいたのを覚えている。
K君はFF派でもドラクエ派でもなかったから、彼のRPG歴はこのテイルズから、ということだったのだと思う。
結構な少数派だった。
その後K君には高校のとき一度会って以来、どうしたか、知らない。
順調に人生が進んでいたなら、薬剤師になっているはずである。
勉強もスポーツもできて女の子にもモテる、すごい奴だった。
もしかしたら、彼も本作で遊んでいるかもしれない。
DQ、FFは筋金入りの古参ファンが御意見番のように存在していて、その意味では伝統を破ることが難しい。
(はずなのに6・7・8・10を作ったスクエニはすごいと思うが。)
そういう老舗のすき間を縫う形で、アニメに親和的な文化圏のユーザーを別の畑から取り込んだテイルズの目の付け所は良かったのだと思う。
戦闘のアクション性とキャラ同士の頻繁なやり取り、この2つは決定的にテイルズのアイデンティティになっている。
これだけを楽しむファンがいるのもうなずける。
アクションRPGということもあり、特殊攻撃のある敵やボス戦が難しい。
難易度ノーマルでこの難しさだから、やりこむ人にとっては相当歯ごたえがあるだろう。
レベルも雑魚相手に3割り増しまで上げようとすると相当時間がかかるので、私のプレイスタイル、「要求される水準から2~3割増しでレベル上げして、攻撃ゴリ押しでボスを撃破する」が通用しない。
いや~、ボスね、本当に強いんだよ。
一つ難を言うと、これは体験版のときから感じていたのだが、敵味方の攻撃がやたら派手で、エフェクトや数値情報が画面いっぱいになってしまい、こちらと相手のモーションも把握しづらい。
端的に言って、ものすごく目が疲れる。長時間続けてプレイできない。
ドラクエのようなコマンドバトルでレベルを上げているときの「作業感」が私は好きなので(たぶんコツコツルーティンをこなしていけば確実に成長する、というのが好きなんだと思う)、ここは私がRPGに求めているものと違う気がした。
仲間同士のやり取りに関しては、ちょっとアニメチックな対象年齢の低さは感じるが、後から仲間に加わったキャラにもしっかり愛着がわくような作りになっていて、なるほどな、と感心させられた。
シオンが説教するときの「いいこと?」という口癖なんかは個性の表現としては底が浅いと思うのだが、まあ、これらも全体のバランスの中で設定されたものだろうから、その効果や意味を考えながらプレイすることを思えば、逆に深読みの楽しみがある。
気位が高く、常に上から目線なだけでは可愛げのない嫌な女でしかないが、実は食いしん坊というお茶目な属性によって、アルフェンとの「近さ」が生まれている。
ちなみに海外のプレイヤーの動画を見たところ、英語版のシオンはFF7Rのジェシーと同じ声優さんの声だった。
声を聴いて「あれ?」と思って、調べてみたらやっぱりそうだった。
こういうところにも、「レジェンド」は影響を与えている。
まだあまり数が多くないので検証していないが、英語で「いいこと?」がどう訳されているのか、そのうち確認してみたい。
ストーリー的には、きわめてわかりやすい。
まだ序盤だが、少なくともこの時点では、立ったフラグはその場で即座に回収される。
なぜタイミングよくリンウェルが現れたのか、
なぜジルファはパーティーメンバーにならないのか、
なぜメネックは人相が悪いのか、
…、分かりやすすぎる。
このストーリーを「難しい」と評している者がいるそうだが、これが難しいなら君にRPGはできない。
普段何を見ているんだ?
少なくとも、本を読むことなんかないんだろうなあ。
昨日は体験版と同じエリアにたどり着いて、のんびりレベル上げしていたら、たぶんランダムで遭遇するレアな裏ボスみたいな敵が急に出てきて、全滅したところで終わりました。
今日も続きを遊んでいきます。
あ、ちなみに私、仕事が土曜日出勤で水曜日休みということになっており、明日2回目のワクチン接種でお休みをいただいているので、なんと5連休という「コンボ」が完成し、秋休みが訪れています。うふふ。