「黒い風琴」朔太郎のこの詩を朗読いたします♪ 1月25日(日)14:00 @高崎コアホール | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

 

 

 

 

萩原朔太郎「黒い風琴」を朗読いたします♪

 

風琴はオルガンのこと。

 

朔太郎の詩は

 

その言葉から<音楽>が感じられます。

 

 

 

黒い風琴

 

 

おるがんをお弾きなさい 女のひとよ


あなたは黒い着物をきて


おるがんの前に坐りなさい


あなたの指はおるがんを這ふのです


かるく やさしく しめやかに 雪のふつてゐる音のやうに


おるがんをお弾きなさい 女のひとよ

 

だれがそこで唱つてゐるの


だれがそこでしんみりと聴いてゐるの


ああこのまつ黒な憂鬱の闇のなかで


べつたりと壁にすひついて


おそろしい巨大の風琴を弾くのはだれですか


宗教のはげしい感情 そのふるへ


けいれんするぱいぷおるがん れくれえむ!


お祈りなさい 病気のひとよ


おそろしいことはない おそろしい時間(とき)はないのです


お弾きなさい おるがんを


やさしく とうえんに しめやかに


大雪のふりつむときの松葉のやうに


あかるい光彩をなげかけてお弾きなさい


お弾きなさい おるがんを


おるがんをお弾きなさい 女のひとよ。

 

ああ まつくろのながい着物をきて


しぜんに感情のしづまるまで


あなたはおほきな黒い風琴をお弾きなさい


おそろしい暗闇の壁の中で


あなたは熱心に身をなげかける


あなた!


ああ なんといふはげしく陰鬱なる感情のけいれんよ。