山内由紀人『巨大な夕焼』河出書房新社 2025
この著作は
「16歳の時に<三島由紀夫>として誕生した小説家が、
その後30年近く華々しい創作活動をしたのち、
なぜ45歳という年齢で自死を選んだのか」(まえがきより)のテーマにつらぬかれて。
「(芸術家としての三島は)自らの肉体までも芸術とし、死をも演出した。」
「三島は、見事なまでに完璧な芸術的生涯を生きた」と、内山は言う。
今年2025年は三島由紀夫生誕100年。
この書名は「芸術というのは巨大な夕焼です。」『暁の寺』より
存在のすべてを賭けて〈作品〉とした三島、
その三島を読み解くのがこの著。
目次
序章 三島由紀夫の帰郷 蓮田善明と林房雄をめぐって
Ⅰ
ジャン・コクトーからの出発 敗戦後の青春
三島由紀夫と昭和十年代の映画文化
戦中派的情念とやくざ映画
三島由紀夫と鶴田浩二
三島由紀夫とヴィスコンティ 死と悲劇と
映画俳優と小説家 『からっ風野郎』と映画『憂国』 ほか)
Ⅱ
三島由紀夫と短歌 塚本邦雄と春日井建
二つの「花山院」 歴史小説の方法
「スタア」の世界 映画スターと仮面
三島戯曲の六〇年代 「十日の菊」と『黒蜥蜴』
「葵上ー近代能楽集ノ内」と仏教
「卒塔婆小町ー近代能楽集ノ内」とオペレッタ映画)
終章 巨大な夕焼 三島由紀夫 最後の芸術
◆山内由紀人(やまうち ゆきひと)
1952年、東京都生まれ。立教大学文学部卒。文芸評論家。
1984年、「生きられた自我 高橋たか子論」で第27回群像新人文学賞評論部門優秀作受賞