水野 暁「視覚の層 絵画の層」
群馬県立近代美術館で観てきました。
その作品は写実ですが、写実を越え、
対象へ本質へ肉迫する描き込みが凄まじい。
林檎の木は白い花をつけ、青い林檎、熟れた赤い林檎、
熟しすぎ腐りかけた林檎も画布にある。
生命がもつ力、時間が凝縮されて、
そこに存在する。
そしてたとえようもなく静謐。
その頂点といえるのが画家の母を描いた作品。
小ぶりの母の肖像画、
人間の内奥にある愛・恐れ・畏れ・焦燥が
あざやかな紅・赤・薄紅でほとばしる。
さらに頭蓋がそっとセピアでささやく。
こんなにも激しく、あたたかく、
非情なほどの視線で見つめ、描く。
榛名湖(制作中)の水・光・湖面の揺らぎのやすらぎ。
こんなにも惹きつけられる、というより
たましいまで没入してしまう作品に逢えたおののきを抱えて。
12月16日(火)まで
◆美術館の紹介
3年から4年をかけて対象と向き合い、
年月の経過を一枚の画面に凝縮させる作家水野暁。
その視覚が絵画の層となって画面に積み重なり、
写実を超えたリアルな存在として私たちの前に現れます。
https://artexhibition.jp/exhibitions/20250810-AEJ2714990/
みずの