この業火かかえもち! 遠田潤子『天上の火焰』集英社 2025 | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

 

 

 

 

 

 

遠田潤子『天上の火焰』集英社 2025

 

人間とはなんと切ない業火をかかえもつのか。

 

燃えさかる炎のイメージが、

 

備前焼窯元の父子三代の相克、

 

その内奥に渦巻く情念と重なってゆく。

 

家族とはなにかを問い続ける遠田潤子の新刊。

 

 

ドヴォルザーク「スラヴ舞曲集 第二集 第二番」

小説の中で通奏低音のように流れて。

Bing 動画

 

 

◆本の紹介はこちら

 

大らかな性格で孫に優しい偉大な人間国宝の祖父・路傍(ろぼう)。

氷のように冷たく息子に無関心な轆轤の名手である父・天河(てんが)。

物心つく前に母親を亡くした城(じょう)は、

陽と陰のような二人の間で育ち、悩み苦しんでいた。

父に認められたいがゆえに歪んでいく心。

それは宿痾のように精神を蝕んでいき……。

備前市伊部を舞台に、備前焼窯元父子三世代の心の闇に斬り込み、

愛と憎しみの狭間でもがく人間たちを描いた、焰の家族史。


装画:流 麻二果

装幀:アルビオレ

 



◆遠田潤子 (とおだ・じゅんこ)
1966年大阪府生まれ。大阪府在住。関西大学文学部卒。

2009年、第21回日本ファンタジーノベル大賞を受賞した『月桃夜』でデビュー。

『雪の鉄樹』が「本の雑誌が選ぶ2016年度文庫ベストテン」で第1位、

『オブリヴィオン』が「本の雑誌が選ぶ2017年度ベストテン」で第1位、

『冬雷』が第1回未来屋小説大賞を受賞、『銀花の蔵』が第163回直木賞候補に。

他の著書に『アンチェルの蝶』『ドライブインまほろば』『廃墟の白墨』

『紅蓮の雪』『人でなしの櫻』『邂逅の滝』『ミナミの春』ほか。