井上有一「東京大空襲」 群馬県立近代美術館 展示室7
墨が、書が、叫ぶ!
薄闇の展示室にずらりと並ぶ書に圧倒される。
その<圧>に、たじろぐ。
書かれた詩は同じ詩。七言絶句。
猛火狂奔襲難民
親庇愛児児縋親
米機殺戮十萬人
江東一夜化地獄
落款は、
右昭和二十年三月十日東京大空襲
余前夜本所区横川国民学校宿直 終生不可忘 井上有一録之
「終生、否死すとも」とも。
文字が紙を凌駕し、
筆が猛り狂い、
その阿鼻叫喚が、炎が、
突き刺さってくる。
1978年、四半世紀たって、井上はやっと筆がとれた、という。
40日間で約500枚を書き、
そこから選び出された33点のうち30点が今回、展示されて。
8月31日(日)まで