映画「国宝」を観た!
「斬れば真っ赤な血が出る歌舞伎が、
少なくとも銀幕の上には存在する」と、演劇評論家 犬丸治氏。
歌舞伎、
どろどろの情念の沼に咲く大輪の花、
あるいは漆黒の真闇にかがやく<悪>・・・
そんな歌舞伎を思っていたことがあります。
この「国宝」はまさに、それ。
吉沢亮・横浜流星、なんと美しいこと!
「二人藤娘」「二人道成寺」「曽根崎心中」
歌舞伎の舞踊を、芝居を、<その役>で演ずる。
よくぞ、ここまで・・・
役者という「業」が生生と迫る。
歌舞伎指導:中村鴈治郎、
時代考証:児玉竜一。
大画面を圧する渡辺謙。
そしてなによりも、田中泯の老女形小野川万菊。
<甲斐庄楠音(かいのしょう ただおと)か岸田劉生の
画から抜け出たようなグロテスクで皺くちゃの老人が、
「鷺娘」では途端に「美しい化け物」になる。>と犬丸氏。
吉沢を呼び寄せる、その<手>、
稽古をつける凛としたたずまい、
老いやつれ、病身を横たえるなにもないぼろぼろの部屋、
「美しいものが、ここにはなにもない。
それがやすまるんだよ」この言葉。
どれほどの渾身をもって<美>を追求してきたことか・・・
映画を観た、いえ、圧倒的な映像・映画になぎ倒された。
原作:「国宝」吉田修一著(朝日文庫/朝日新聞出版刊)
脚本:奥寺佐渡子
監督:李相日
出演:吉沢亮、横浜流星、高畑充希、寺島しのぶ、森七菜、三浦貴大、
見上愛、黒川想矢、越山敬達、永瀬正敏、嶋田久作、宮澤エマ、
中村鴈治郎、田中泯、渡辺謙
製作幹事:MYRIAGON STUDIO
制作プロダクション:クレデウス
日本公開:2025年6月6日(金)全国東宝系にて公開!
配給:東宝
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