2017年5月、他界される9か月前の高崎兜太句会。
◆今日から13:30始まり。
3ヵ月ぶりに兜太先生との句会。
メンバー全員、いきいきと座が弾む。
兼題は<耳>。
高得点6で、句はこれ。
白木蓮の真中や耳を寂びしめり
評:白木蓮の花の咲きほこるなかで、
その「孤」として、存在の寂しさまで感じられる。
「耳」がうまい。
兜太:句全体がマンネリ。
白い花のなか、情感・感情をおくのは常とう。
とあまり評価はよくなかったのが、
全句講評で読み返して、好評へかわる。
感覚が鋭い。白木蓮の静かな咲き方がいい。
すきとおるウサギの耳は春匂う
評:ウサギの耳はまさにすきとおる。
春の息吹がさわやか。
兜太:あまい。「は」だと断定になる。
「よ」でやわらかく書く。詠嘆になる。
樹下春光内耳たどれば地中海
この句、「耳」が「身」となって誤植であったにもかかわらず、
とった人がふたり。と問題句。
評:きらきらした世界。物理的なものから観念へ。
身体を、内側をたどってゆくと海。
兜太:耳の内にいる雰囲気、感覚。
「樹下春光」に内耳感。
そういう内耳をたどると地中海。
大人びた句。
じらじらと桜月夜に耳が生え
これは問題句が多く、ひとりがとる。
評:「じらじらと」が適当かどうか。
「桜月夜」のおぼろなような「月」、「耳が生える」がわかる。
「じらじらと」に感心したが、いっそ「じらじらじら」ではどうか。
兜太:面白い。
「じらじらじら」と独立したフレーズにしたほうがいい。
じらじらじら桜月夜に耳が生え
花冷えや寺の隣に寺があり
兜太:なにげないが、「寺の隣に寺があり」面白い。
花冷えやをかえる。カタカナで「ブランコや」、
無季でよければ「発狂す」もあるぞ。
「立小便」はどうだ、と兜太先生。
これはメンバーが却下(笑)。
ブランコや寺の隣に寺があり
兜太先生による全句講評で、
バッサバッサと切られ、終了。
(樹下春光、じらじらは私の句)