昨日の兜太 高崎兜太句会2017年5月♪ 他界の9ヵ月まえ | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

 

 

 

 

 

 

2017年5月、他界される9か月前の高崎兜太句会。

 

 

◆今日から13:30始まり。

3ヵ月ぶりに兜太先生との句会。

メンバー全員、いきいきと座が弾む。



兼題は<>。

高得点6で、句はこれ。

   白木蓮の真中や耳を寂びしめり


評:白木蓮の花の咲きほこるなかで、

  その「孤」として、存在の寂しさまで感じられる。

  「耳」がうまい。

兜太:句全体がマンネリ。

   白い花のなか、情感・感情をおくのは常とう。

   とあまり評価はよくなかったのが、

   全句講評で読み返して、好評へかわる。

   感覚が鋭い。白木蓮の静かな咲き方がいい。


   すきとおるウサギの耳は春匂う

評:ウサギの耳はまさにすきとおる。

  春の息吹がさわやか。

兜太:あまい。「は」だと断定になる。

   「よ」でやわらかく書く。詠嘆になる。


    樹下春光内耳たどれば地中海

この句、「耳」が「身」となって誤植であったにもかかわらず、

とった人がふたり。と問題句。

評:きらきらした世界。物理的なものから観念へ。

  身体を、内側をたどってゆくと海。

兜太:耳の内にいる雰囲気、感覚。

   「樹下春光」に内耳感。

 

そういう内耳をたどると地中海。

   大人びた句。


   じらじらと桜月夜に耳が生え

これは問題句が多く、ひとりがとる。

評:「じらじらと」が適当かどうか。

  「桜月夜」のおぼろなような「月」、「耳が生える」がわかる。

  「じらじらと」に感心したが、いっそ「じらじらじら」ではどうか。

兜太:面白い。

 

「じらじらじら」と独立したフレーズにしたほうがいい。


   じらじらじら桜月夜に耳が生え



   花冷えや寺の隣に寺があり

兜太:なにげないが、「寺の隣に寺があり」面白い。

    花冷えやをかえる。カタカナで「ブランコや」、

    無季でよければ「発狂す」もあるぞ。

    「立小便」はどうだ、と兜太先生。

 

これはメンバーが却下(笑)。

 
   ブランコや寺の隣に寺があり



兜太先生による全句講評で、

バッサバッサと切られ、終了。
 

 


(樹下春光、じらじらは私の句)