<前橋刑務所>はこちら♪  朔太郎「監獄裏の林」 | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

 

 

 

 

 

 

 

前橋刑務所、レンガ塀が延々と続く。

おもむきのある建物。

塀とその正面。








かつては「前橋監獄」。

萩原朔太郎の郷土望景詩に「監獄裏の林」としてある。

この監獄ができた明治のころは前橋の郊外。

いまでは街の中、まわりは住宅地。

 

前橋駅からも歩いて10分ほど。

家からも近い。

なにより私が通った中学はすぐ隣り。

当時は刑務所の畑で作業する人たちが

ふつうに見えていたりした(!?)。



前橋監獄、一部は明治村へ。

前橋の大空襲にも焼けず、

全国でも残っているめずらしい建造物。

 

いまでも<刑務所>です。



  監獄裏の林      萩原朔太郎



監獄裏の林に入れば

囀鳥高きにしば鳴けり。

いかんぞ我れの思ふこと

ひとり叛きて歩める道を

寂しき友にも告げざらんや。

河原に冬の枯草もえ

重たき石を運ぶ囚人等

みな憎さげに我れを見て過ぎ行けり。

暗鬱なる思想かな

われの破れたる服を裂きすて

獸類けもののごとくに悲しまむ。

ああ季節に遲く

上州の空の烈風に寒きは何ぞや。

まばらに殘る林の中に

看守の居て

劍柄づかの低く鳴るを聽けり。

               ――郷土望景詩――