うつつ、うつつならざる幽世が、ここに! 藤沢周『鎌倉幽世八景』鳥影社 2024年刊 藤沢周『鎌倉幽世八景』鳥影社 2024年10月刊 鎌倉は屍(かばね)の蔵、だという。 うつつとうつつならざる幽世(かくりよ)が 重層し、おりなす<景>が八つ。 地名そのものがまがまがしく、あやしい。 生と死のあわいが、ほら、そこに! 扇ガ谷 十王岩 袖塚 唐糸(からいと) 飢渇畠(けかちばたけ) 太刀洗(たちあらい) 切腹やぐら 化粧坂(けわいざか) 不機嫌な化粧(けわ)う少年花の塵 掌 帯<観光地カマクラの白日の下に、屍の蔵たる鎌倉の、 幽玄なる景色がここに現われる。 (富岡幸一郎)>