もうひとつの「源氏物語」でしょうか 澤田瞳子『のち更に咲く』2024年 新潮社刊 | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

 

 

 

 

 

 

 

澤田瞳子『のち更に咲く』2024年 新潮社刊

 

 

これ花の中に偏(ひとへ)に菊を愛するにはあらず

 

この花開(ひら)けてのち更(さら)にはなのなければなり

 

 元稹「菊花」『和漢朗詠集』より

 

 

 

時代は平安朝 藤原道長の権力をにぎっていた、

 

まさに今放映されている『光るの君へ』の時代。

 

平安中期(寛弘5年/西暦1008年頃)でしょうか。

 

 

兄・藤原保昌(やすまさ)は武勇に優れた肥後守、のちに和泉式部の夫、

 

弟・藤原保輔(やすすけ)は「袴垂(はかまだれ)」という盗賊団の首魁。

 

このふたりは実在の人物で、

 

小紅という妹の視点でえがかれる。

 

 

<京の街を荒らし回っていた伝説的な盗賊団「袴垂」一党と、

 

絶対安定政権に手をかける藤原道長と正妻・倫子、

 

まさにいま『紫式部日記』を描かんとする紫式部(藤式部)と

 

その舞台である土御門第(道長邸)、

 

天才歌人・和泉式部と最後の夫・藤原保昌といったキャストに、

 

「ある貴人の出生の秘密」がからむという>と紹介にある。

 

 

澤田瞳子さんの確かな歴史知識に裏打ちされ、

 

あざやかなストーリーテリング、

 

人物がくっきりと立ち上がり、

 

そのひとびとの「身近な 死」が、

 

あますところなく描かれて。

 

 

極上のエンターティメント♪