皆川博子『風配図』2023年 河出書房新社刊
第34回紫式部文学賞を受賞!
敬愛の作家の作品、このブログを再掲いたします♪
◆皆川博子『風配図 WIND ROSE』河出書房新社 2023年5月刊
<皆川博子 新たな代表作、誕生。>
目を射るこの帯文!
その小説は
「自らの道を求め交易商人を志した二人の少女の物語。」
その少女はヘルガ、義妹アグネ。
舞台はバルト海交易のゴットランド島。
漂着した難破船の積み荷をめぐる生存者と島民の
<決闘裁判>へ。
衝撃的な幕開きからドラマティックな物語、
それぞれの人間をくっきりと描き、ドラマを書く、
その筆致の精緻にしてなんと強靭なこと!
おりおり置かれる詩、
三橋鷹女「みんな夢雪割草がさいたのね」の句などが、
さらにこの小説を重層化、深化させてゆく。
もっとも驚愕したのが、<戯曲形式>が挿まれている!?こと。
じつに自然な流れで、
「」の会話よりいっそう、
その人物が、その場がくっきりと立ち上がる。
まさに<物語を読む喜びに満ちた傑作>!!
この美しい造本は、もう皆川作品には欠かせないおふたり。
装幀:柳川貴代
装画:伊豫田晃一
この題字「WIND ROSE」はリューベック大聖堂に
刻まれた文字を参考に描かれた、とのこと。
◆本の紹介はこちら
1160年5月、バルト海交易の要衝ゴットランド島。
流れ着いた難破船の積荷をめぐり、
生存者であるドイツ商人と島民の間で決闘裁判が行われることとなった。
重傷を負った商人の代闘に立ったのは、15歳の少女ヘルガ。
義妹アグネが見守る中、裁判の幕が開き、運命が動き出す――
ドイツ商人が北へ進出し、ロシア・ノヴゴロドでは政争が頻発するなど
動乱の時代を生きた人々を詩歌や戯曲形式も交えて紡ぐ、
小説の新たな可能性を拓く傑作長篇!
◆帯文
少年の日に夢見た「本物の文学」という幻に、今日、出逢ってしまいました。
パンドラの匣に残された最後の希望のような言葉の冒険。――穂村弘
記録に決して残らない「が、あったはず!」の歴史的瞬間。
虐げられし者たちが織り成す、魂の生存を賭けた「智」の連鎖。
時を超えて掘り出されるその昏き光彩、まさに圧巻! ――マライ・メントライン
帯を取った書影
第34回紫式部賞作品紹介、評、
受賞の言葉はこちら
紫式部文学賞 - 受賞作品 - 宇治市公式ホームページ (city.uji.kyoto.jp)