カウフマン、圧巻! オペラ「トゥーランドット」@ウイーン国立歌劇場2023年 | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

 

 

 

 

 

 

 プッチーニ(Giacomo Puccini 1858-1924)、今年は没後100年。

 

 そのオペラ「トゥーランドット Turandot」、

 

ウイーン国立歌劇場 2023年12月の公演をプレミアムシアターで観ました。

 

 ◆ステージ写真、たっぷり

   OPERA FLASH 2023/2024[ウィーン国立歌劇場]トゥーランドット | 月刊音楽祭 (m-festival.biz)

 

 

 

なんといってもカラフを演じるJ.カウフマン

 

その歌唱、その存在感はもうもう圧倒的。

 

ドラマティコの声が陰影をまし、深々とした声は圧巻。

 

アリア「誰も寝てはならぬ」の熱狂的な拍手は鳴りやまない。



A.グリゴリアンのトゥーランドットのソプラノは

 

冷徹な姫は傲岸な態度のうらに<純潔>な脆いほどのおののきをもつ、

 

そんなトゥーランドットを歌い演じて。

 

カラフとの「謎」の緊迫感、迫ってきました。

 

 

K.ムヒタリヤンのリュー、ひたむきなカラフへの愛、

 

忍従というよりもっと勁い女性を感じさせて。

 

3幕のアリアが聴きものでした。



ピン/パン/ポンはコーラスと同じ衣装で、

 

宦官トリオの喜劇的なところがめだたず、

 

二幕冒頭の見せ場の<望郷>の思いがつたわりずらかった、かも。

 

ポンは尼子 広志。

 

 

演出はクラウス・グート 。

 

中国風は全くなく、現近代でしょうか。

 

表現は前衛的ですが、ストーリーの読み替えはありません。

 

一幕はとてもシュールで、どんな前衛劇かと思えるほど。

 

美術はモノトーン基調のシンプル

白く大きな壁にトゥーランドットがプロジェクション・マッピングで大きく投影され、

 

血塗られた様相を映しだす。

 

そのトーランドットは純白の衣装。

 

カラフは黒と紺のスタイリッシュなデザイン。

 

男女コーラス、若草色のスーツに胸にピンクのバラ、

 

金髪のショートカット(鬘)そして眼鏡。

 

 

一幕は謎を解けず斬首された首が弄ばれ、

 

トゥーランドットは首の無い男性と歩き、

 

仮面をつけた4人がトゥーランドットつねについて、

 

少女性を象徴しているのでしょうか。

 

リューも同じメイクと衣装5人が並びそれぞれ心象を表現して。


指揮はオペラを得意とするM.アルミリアート。

 

歌手の息遣いをよくとらえて。

 

この「トゥーランドット」心象表現を追求し、

 

「ドラマ」が表象されたみごたえのあるオペラ。

なにより歌手たちが素晴らしい!




<出演>
 トゥーランドット:アスミク・グリゴリアン [Asmik Grigorian]


 カラフ:ヨナス・カウフマン [Jonas Kaufmann]


 リュー:クリスティーナ・ムヒタリヤン [Kristina Mkhitaryan]

皇帝アルトゥーム:イェルク・シュナイダー [Jörg Schneider]
ティムール:ダン・パウル・ドゥミトレスク [Dan Paul Dumitrescu]
ピン:マルティン・ヘスラー [Martin Häßler]
パン:ノルベルト・エルンスト [Norbert Ernst]
ポン:尼子 広志 [Hiroshi Amako]

<合唱> ウィーン国立歌劇場合唱団


<管弦楽>ウィーン国立歌劇場管弦楽団


<指揮> マルコ・アルミリアート [Marco Armiliato]


<演出>クラウス・グート [Claus Guth]



収録:2023年12月7・8・13日 ウィーン国立歌劇場(オーストリア)