昨日の兜太 高崎兜太句会 2016年6月 兼題は「事故」♪ | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

 

 

 

 

 

 

 

 

この日の高崎兜太句会、ゆとりの30分前に着いた。

なんと兜太先生すでに来てらして、パンなど召し上がっている!?

どうも先生、時間を勘違いしたらしい。



2・3ヵ月前に3句を提出し、

兼題は「事故」が2句、自由句が1句。

選句は3句と問題句を1句。

最高点句は7点が2句あって、その句から合評を始める。



   ビニール一枚春空を飛ぶ事故の予感

   花の村事件あらかた狐の仕業


とった評は当然のことながら好意的な意見が続出。
事故の「予感」がいい。

兜太評:新鮮でない。
      「ビニールが飛ぶ」のも、「狐の仕業」もマンネリ。
     この2句、発想が似ている。
     「どうしてこんなに点がはいったかわからんな」。

     「事故」という兼題で、がんばりすぎたり、きどったり、と
     無理をしている、とも指摘。
     「フクシマ」「チェルノブイリ」「大震災」などを書いた句は
     報告にとまっている。


4点句は

   キャッチボールの姉と妹豆の花

 
 評:今は兄弟だけでなく、姉妹キャッチボールをやるのも
   めずらしい事でない。

兜太評:あっさりした季語、「豆の花」が効いている。
     地味に作っていい。


   大地震ありったけの燕よ来い


兜太評:おもいきった言って、実感あり。
     「ありったけの燕」がいい。ちょっと言い方が幼い、か。

   
   春愁のすこし大きな馬に乗り


兜太評:自分の春愁をなだめるために馬に乗った。
     「乗る」終止形だときつくなる。
     「乗り」だ。このぼかすほうがいい。


続いて、すべて問題5点となったこの句。

    
   男ありけり無遅刻無事故宇宙塵


評:なにが言いたいか?
  いなくなって宇宙の塵となった?
  「宇宙塵」の働きがわからない。

兜太評:男がいた。無遅刻、無事故で、
     その男をみていると宇宙塵としかみえない。
     哀れを込めて、皮肉った。
     皮肉ったが、哀れをこめている。
     面白い。自画像か?
     「これは肯定的な問題句だな」

はい、これは私の句。


今回は秀逸、秀作、佳作ではなく、
以上の句が兜太選となった。