陰惨なオペラ「ヴォツェック」アルバン・ベルク作曲 エクサンプロバンス音楽祭2023  | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

 

 

 

 

 

 

webからお借りしました

 

 

 

オペラ「ヴォツェック WOZZECK」


アルバン・ベルク(1885–1935)作曲。

 

3幕15場。

 

 

オペラ「ヴォツエック」は

 

前衛音楽で、

 

<貧しい床屋上がりの兵士が、鼓手長と通じた内縁の妻マリーを殺す>

 

という陰惨な内容。

 

 

美しいアリアや

 

こころに響くようなメロディはないし、

 

華やかな美術や衣装があるわけではない。

 

貧困、生体実験、錯乱や狂気、そして殺人・・・

 

 

ベルクは各幕の音楽を緻密に構成し、

 

作り込んだ作品。


演出はマクバーニー。

 

 

じつによくできた舞台で、

 

この15場を緊密に構成し

 

美術や衣装をふくめてシンプルで、

 

照明やプロジェクトマッピングを使った、場面転換もあざやか。

 

 

マリーのビストレム、

 

表情は抑えられ、

 

こころの葛藤がこのベルクの音楽から滲む。

 

 

ヴォツエックはゲルハーヘル。

 

この底辺にうごめいて、

 

生体実験のモルモットまでつとめ生きている一兵卒を

 

じつに貧乏たらしく、鋭く造型して、みごと。

 

 

このひりひりとした人間、

 

錯乱し、子までなした内縁の妻を殺す、

 

そこに<ヴォツェック>がいた。

 

マリーとヴォツェックの沼の場の緊迫感はすごい!



  
<出 演>
 ヴォツェック:クリスティアン・ゲルハーヘル [Christian Gerhaher]


 マリー:マリン・ビストレム [Malin Byström]


 鼓手長:トーマス・ブロンデレ [Thomas Blondelle]
 大尉:ピーター・ホーア [Peter Hoare]
 医者:ブリンドリー・シェラット [Brindley Sherratt]
 アンドレス:ロバート・ルイス [Robert Lewis]
 マルグレート:エロイーズ・マス [Héloïse Mas]



<合 唱> エストニア・フィルハーモニー室内合唱団
     ブーシュ・デュ・ローヌ聖歌隊 (児童合唱)


<管弦楽> ロンドン交響楽団 [London Symphony Orchestra]


<指 揮> サイモン・ラトル [Simon Rattle]


<演 出> サイモン・マクバーニー [Simon McBurney]



収録:2023年7月5・13日 プロバンス大劇場(フランス)