望月士郎 第一句集「海市元町三-一」2023年 文學の森刊
ご恵与いただきました。
装画はアルチュール・ランボー、
炎天の蝶ランボーを万引きす 士郎
著者ご自身で描かれ、装幀も。
この句集名はこの句から
母といた海市元町三-一 士郎
「幻の中にありながら確かな住所を持った場所」がお好きとか。
あとがきではこのように
「言葉をもって言葉を越えること。
俳句という小さな器に容れると、
言葉はひとりでに捩れ、ずれ、滲み、そして毀れます。
詠みながらその変形した姿を読みつつ、さらに進んでゆきます。
それは表現ではなく表出といったものです。」
好きな句をこちらに
三月のひかり水切りりりりりり 士郎
隣室をうすくひらいて雛の夜
福島県朧市朧町おぼろ
花の夜象のつづきはまた明日
朧夜を歩く魚を踏まぬよう
一日の皮膚うすくして桃を剥く
霧の駅ひとりのみんな降りて霧
夕花野ときおり白い耳咲かせ
伝雪舟伝伝雪舟雪景色
哀しみときに鶴を束ねて売りに出す
夕焼けがわたしの影を買いにくる