「世界が魔女の森になるまで 川口晴美展」を
萩原朔太郎記念 前橋文学館で観ました。
川口晴美さんがどのように詩と出会ったか、
詩そして現代美術とのコラボレーションなど
書いて、活動した約40年の軌跡が、
もう濃厚に立ち込めた世界にいざなわれる、そんな展示です。
その展示の核となるのは
長編詩「世界が魔女の森になるまで」が素晴らしい!
高さ247センチ、
直径87センチの円筒に
この詩の言葉がさまざまな大きさの文字で表され、
筒の内部からの光で、黒い壁と床に言葉が映る。
ここは森、魔女の森。
詩が、ことばが降りそそぐ空間です。
コインロッカーに詩が入っていたり、
なんとガシャポンがあって、詩のバッジが!?
「夢の切れ端は消えてもうつかむことができないのに、」
をいただきました。
展覧会の図録、
これがもうもう労作。
年譜も詳細なこと!
(これは作るの大変すぎ)
写真がたくさん載っているのですが、
川口さんがいる・存在すると
知っている文学館のカフェなども異化されていくよう。
川口さんの詩はフィクションとして書かれるもの、
現実の問題を取りあげている作品、
シスターフッドを主題としたものなど、多彩。
その言葉はしなやかで勁い。
「自分だったかもしれない誰かのことを想像してみること、
発せられなれないけれどそこにあった言葉、
現実の明るい場所には届くことのない言葉を
詩の言葉で掬い取りたい」と。
そして
「からっぽの器になって、詩の器になって」いたいと。
◆川上晴美
1985年の第一詩集『水姫』の上梓より、
2010年に『半島の地図』で第10回山本健吉賞を、
2016年に『Tiger is here.』で第46回高見順賞を、
2022年『やがて魔女の森になる』で第30回萩原朔太郎賞受賞。