山中葛子 句集『愛惜』 | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

山中葛子 句集『愛惜』文学の森 2023年刊

 

ご恵与いただきました。

 

山中葛子さんは金子兜太「海程」の創刊同人で、

 

「海程」発足から、歩まれてきた大先輩。

 

第八句集になる『愛惜』は

 

平成25年から令和3年までの句をまとめられた。

 

この間には師・金子兜太の他界、

 

俳句誌「海程」の終刊、

 

継続誌「海原」の創刊があります。

 

山中さんはあとがきでこのように

 

「人も大自然の一つであることに気づかされつつ、

 

いよいよ未知なる時間を受け止めていく中で、

 

わたしの一句へ向かう願いとといいましょうか、

 

祈りいいましょうか、

 

俳句詩形への謎と魅力はいっそう深まりゆくばかりでした」と。

 

 

好きな句をこちらに。

 

 草おぼろ鬼に呼ばれてしまいそう

 

 鶏頭残花空爆を喋りだす

 

 遺言を草木染して今日の秋

 

 鳥獣戯画月がとっても走るから

 

 百合鴎メビウスの輪を抜け来しか

 

 きさらぎのなむなむなむなむ羊雲

 

 自分史のツルウメモドキ引っぱって

 

 忘却という白濁よ野の梅よ

 

 火のように生まれ他界へいそぐ秋

 

 ふと骨のきしむ浮力やみむらさき

 

 さざんか掃く明るい死体だと思う

 

 ひらひらひらちょうちょちょうちょ虚空まで

 

 あかねさす夢のすきまを秋の蝶

 

 愛惜を荷作りせよと虫そぞろ