「藤戸」は
吉右衛門が松貫四の筆名で構成演出をし、
川崎哲男台本による松羽目舞踊劇。
能の「藤戸」の舞踊化。
かつてはむろん吉右衛門が務めた。
今回は菊之助。
菊之助の「美形」の女形を観てきているけれど、
老母はどうなのか、と。
漁夫の息子を「藤戸」の戦で、
馬で渡れる浅瀬を教え、そのことによって、
無残に盛綱に殺された。
息子への思いを踊り、
息子を返せと涙ながらに訴える
母親の切ないこと。
盛綱の告白を聞き、ハッと驚愕する母。
その心情の痛ましさ。
この菊之助の老母には胸を打たれました。
後ジテは青隈での立ち廻り。
能では盛綱の供養によって、
悪竜となった漁師の霊が自ら成仏して弘誓の船に乗る。
又五郎の盛綱、武家としては漁夫を殺すのは定石。
しかし、悔い改めるその誠実さ。良かった。
彦三郎以下の四天王。
間狂言は、種之助、米吉、丑之助。
丑之助がきっちりと踊っているのが、
なんともかわいい♪
長唄は勝四郎、巳太郎ほか。
松 貫四 構成
川崎哲男 脚本
昇龍哀別瀬戸内(のぼるりゅうわかれのせとうち)
藤戸(ふじと)
母藤波/藤戸の悪龍 浜の男磯七 浜の女おしほ 浜の童和吉 郎党黒田源太 郎党小林三郎 郎党和比八郎 郎党長井景忠 佐々木三郎兵衛盛綱 |
菊之助 種之助 米吉 丑之助 吉兵衛 吉之丞 坂東亀蔵 彦三郎 又五郎 |