プーランク:オペラ『人間の声』
フランシス・プーランク作曲、初演は1959年。
ひとりのソプラノだけが登場し、歌い演ずる異色のオペラ作品。
脚本はプーランクの友人、ジャン・コクトーの戯曲から。
ひとりの女性が、別れた恋人との最後の会話。
ふたりで過ごした5年の歳月、
その甘美、
その苦しみ、
自殺をも試みた
別れていても残る恋情。
電話・受話器の向こうにいるかつての恋人に向かって
時にささやき、
時に絶叫し、
ひたすら切々と心情を語り、歌う。
主人公「彼女 elle」のダニエル・ドゥ・ニースが素晴らしい!
刻一刻と変わる思いの表情の切なさ、
声のコントロール、
ほぼディアローグのような歌唱がのみごとなこと。
最後の「愛している」の絶望が胸に突き刺さる。
映像作品ならではのきめの細かい
見ごたえのあるオペラになって。
映像はパリで撮影された、とか。
アントニオ・パッパーノの指揮、
英国ロイヤル・オペラ・ハウス管弦楽団
ロンドンで撮影。2021年制作
プーランク Poulenc「人間の声 La voix humaine」
ジャン・コクトー画
◆プーランク:モノオペラ「人間の声」
脚本:ジャン・コクトー
ダニエル・ドゥ・ニース(彼女)
アントニオ・パッパーノ指揮
英国ロイヤル・オペラ・ハウス管弦楽団
監督:ジェームズ・ケント
製作:2022年 ロンドン(管弦楽)、パリ(声、映像)
2022年11月 NHK BSP