此の世のなごり夜もなごり。
死にに行く身をたとふればあだしが原の道の霜。
「入野義朗生誕100+1年記念コンサート」
は最晩年の大作、室内オペラ「曽根崎心中」。
演出の野澤美香はこう語る。
<現代音楽と日本の古典人形浄瑠璃との接点において構想・作曲され、
没年に初演された室内オペラ「曽根崎心中」は、
入野が “伝統“ に正面から対峙した渾身の音楽表現である。>
<脈打つ創作意欲にあふれる本作に対し入野義朗は
『伝統となりうるものは、
常にその時代の前衛でなくてはならないと思う。
[中略] “新しさ“ さえもないような作品が
創作の名に値するはずがないのである』と。
(入野義朗「創作オペラの可能性について」1980)