探偵登場!「殺人事件」 萩原朔太郎を朗読する オータムコンサート | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

 

 

 

 

 

 

 

萩原朔太郎『月に吠える』 扉

 

田中恭吉「画稿より」

 

 

 

探偵登場!

 

朔太郎の詩の<探偵>は

 

玻璃の衣装を着て、なかなかダンディです♪

 

映画や手品が好きで、江戸川乱歩と

 

1931年から親しく、よく上野や浅草へ行った、とか。

 

 

 

 

 

殺人事件

 

 

とほい空でぴすとるが鳴る。

 

またぴすとるが鳴る。

 

ああ私の探偵は玻璃の衣裝をきて、

 

こひびとの窓からしのびこむ、

 

 

床は晶玉、

 

ゆびとゆびのあひだから、

 

まつさをの血がながれてゐる、

 

かなしい女の屍體うへで、

 

つめたいきりぎりすが鳴いてゐる。

 

 

しもつき

(上旬(はじめ)のある朝、

 

探偵は玻璃の衣裝をきて、

 

街の

(十字巷路(よつつぢ)を曲がった。

 

 

 

十字巷路に秋のふんすゐ。

 

はやひとり探偵はうれひをかんず。

 

 

みよ、遠いさびしい大理石の歩道を、

 

 

(曲者(くせもの)はいつさんにすべつてゆく。