「ムンクの版画」群馬県立近代美術館 展示室4
ムンク(1863-1944)の版画が
生の深淵の静謐をたたえています。
なかでも「病める少女」、
胸に突き刺さってきます。
若くして逝った姉、
そこにくずおれるように寄りそう母も同じ病で亡くなって・・・
「マドンナ」
エロティックな姿態でポーズをとるマドンナ。
それを取り囲む精子や胎児。
生と死が色濃く作品をいろどっています。
そんな作品群。
別室には油彩「オーグストランの夏」を展示。
◆美術館ホームページの紹介
ノルウェーに生まれたエドヴァルト・ムンク(Edvard Munch、1863-1944)は 、
クリスチャニア(現オスロ)で学んだ後パリやヨーロッパ各地に滞在し、
マネやゴッホ、ロートレック、ゴーギャン、ドガなど
多くの芸術家から当時最新の表現を吸収し、
イプセンら北欧文学の巨匠が表す
人間の悲惨な人生や死を主題として、象徴に満ちた芸術を創造していきます。
青春の不安や、生の営みを抑圧された現代人の孤独、老年の孤独を
鮮やかな色彩で描いた作品は、人間の根源に迫る表現として高く評価されています。
ムンクは油彩や版画など多様なメディアで同じ主題を表現しました。
版画ではエッチング、リトグラフ、木版など
技法を複合的に用いて、独特な効果を生み出しています。
例えば《マドンナ》は1895年、まず黒色のリトグラフで制作され、
1902年になって多色刷りのヴァージョンが試みられました。
《桟橋の少女たち》は、木版で青い色を刷り、
リトグラフによって線描のように見える黄、赤、緑を加えています。
技法上の様々な実験を経て生み出されたムンクの版画の、
奥深い表現をお楽しみください。