「あなたの詩をよむのは
香水のにほひをかぐやうな気もちがする。」
と言ったのは萩原朔太郎。
ただいま前橋文学館で開催中♪
5年前には群馬県立土屋文明記念館で
「大手拓次展」が催され観ています。
そのブログをこちらに。
「詩人 大手拓次ー孤独の箱のなかからー」を
群馬県立土屋文明記念文学館で観る。
今年は大手拓次 生誕130年にあたる。
詩集『藍色の蟇(ひき)』は
46歳で没した詩人の死後に
装画・装幀・編集をした友人辺見亨によって
アルスから刊行された。
総革、天金、の詩集はいま見ても新鮮。
母音「あ」についての鋭敏な感覚、
薔薇の詩などを推敲の後などあまりない
うつくしい直筆の原稿に
詩人の息遣いを感じる。
拓次の詩を一篇ここに。
藍色の蟇
森の宝庫の寝間ねまに
藍色の蟇は黄色い息をはいて
陰湿の暗い暖炉のなかにひとつの絵模様をかく。
太陽の隠し子のやうにひよわの少年は
美しい葡萄のやうな眼をもつて、
行くよ、行くよ、いさましげに、
空想の猟人かりうどはやはらかいカンガルウの編靴あみぐつに。
「大手拓次は、1887(明治20)年、
群馬県碓氷(うすい)郡西上磯部村(現安中市磯部)の
温泉旅館「鳳来(ほうらい)館」に生まれました。
詩人を志した早稲田大学時代、フランスの象徴詩と出会い、
それらを愛読するとともに、自らも詩の実作を重ねていきます。
1912(大正元)年、北原白秋主宰の雑誌『朱欒(ザンボア)』に
「藍色の蟇(ひき)」「慰安」2篇が掲載され、詩壇へ登場。
その高い完成度を誇った口語象徴詩は、
萩原朔太郎からも熱烈に支持されました。
大手拓次は、一途に、そして孤独に、
最上の詩を求め続けます。
しかし、内向的な性格も災いし、生前、一冊の詩集も持つことなく、
46歳でその生涯を終えました。」(文学館HPより)