仁左衛門の民谷伊右衛門の色悪が

                   

                       ぞぞっとするほど素晴らしい。


                    幕開き、片襷きで唐傘を張ってる風情。

 

                        もうここで<伊右衛門>がいる。


                    ぎょろっと目を動かす、

 

                    その眼のなんと凄みのあることか。

                     

                    お岩の顔の変わったのに驚きながらも、

                       

                      終始お岩を見ないようにしている。

 

                     お岩の上着を剥ぎ取り、蚊帳までも質草にする、

 

                             その無情なこと。

    

                        隠亡堀の「首が飛んでも」の見得が大きいこと。
 
 

                            直助権兵衛は松緑。

 

                          お梅は千之助、ういういしい。 

 

 

 

四世鶴屋南北 作

東海道四谷怪談(とうかいどうよつやかいだん)

 

四谷町伊右衛門浪宅の場

伊藤喜兵衛内の場

元の浪宅の場

本所砂村隠亡堀の場

 

お岩/お花:坂東玉三郎

 

直助権兵衛:尾上松緑

 

小仏小平/佐藤与茂七:中村橋之助

 

お梅:片岡千之助

 

按摩宅悦:片岡松之助

 

乳母おまき:中村歌女之丞

 

伊藤喜兵衛:片岡亀蔵

 

後家お弓:市村萬次郎

 

民谷伊右衛門:片岡仁左衛門