金子兜太 句集『百年』が刊行された1年前。
9月23日は兜太先生のお誕生日♪
ご存命なら101歳。
この『百年』を手に取っています。
昨年のブログをご覧ください。(再録いたします)
俳人・金子兜太の第十五句集『百年』
刊行されました。
十四句集『日常』より後の十年を
一年ごと、編年体で編集され、
全七百三十六句。
まさに渾身の句がここに。
昨年2月に他界され、
生誕100年が明日、9月23日。
<俺は死なない。
この世を去っても、
俺は俳句となって生き続ける>帯文
◆『百年』より
昭和通りの梅雨を戦中派が歩く
初富士と浅間(あさま)の間青し両神山(りょうがみ)
津波のあとに老女生きてあり死なぬ
被曝の人や牛や夏野をただ歩く
雲は秋運命という雲も混じるよ
紅梅に白雪霏霏と野の始まり
秩父谷朴咲く頃はわれも帰る
死と言わず他界と言いて初霞
朝蟬よ若者逝きて何んの国ぞ
戦さあるな人喰い鮫の宴(うたげ)あるな
さくら咲くしんしんと咲く人間(じんかん)に
花よ花仰ぎゆくものを
河より掛け声さすらいの終るその日
陽の柔わら歩ききれない遠い家
◆著者紹介
金子兜太(かねこ とうた)
1919年9月23日―2018年2月20日。俳人。
埼玉県の秩父で育つ。18歳より俳句に熱中し、のち加藤楸邨の「寒雷」に所属。
東京帝国大学経済学部卒業後、日本銀行に入行。
海軍経理学校を経て1944年、海軍主計中尉としてトラック島に赴任した。
1946年に帰国し戦後の社会性俳句、
前衛俳句の旗手として活躍、俳句史に残る多くの俳句と評論を発表した。
1962年「海程」創刊。
1983年、現代俳句協会会長。
日本詩歌文学館賞、蛇笏賞、菊池寛賞、朝日賞など受賞多数。
生前の句集に第一句集『少年』から第十四句集『日常』、
著書に『荒凡夫 一茶』『語る兜太』他多数。
生涯現役で現代俳句を牽引し、
晩年は「平和の俳句」など全身全霊で反戦を訴えた。
2018年2月20日、急性呼吸促迫症候群により他界。享年98。