昨日の兜太 @高崎兜太句会 2016年の今日 | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2016年、4年前の今日の高崎兜太句会。

なつかしくて、再掲です。


高崎兜太句会、ゆとりの30分前に着いた。

なんと兜太先生すでに来てらして、

 

パンなど召し上がっている!?

どうも時間を勘違いした、ということらしい。



2・3ヵ月前に3句を提出し、

兼題は「事故」が2句、自由句が1句。

選句は3句と問題句を1句。



最高点句は7点が2句あって、

 

その句から合評を始める。



   ビニール一枚春空を飛ぶ事故の予感

   花の村事件あらかた狐の仕業



とった評は当然のことながら好意的な意見が続出。


事故の「予感」がいい。

兜太評:新鮮でない。


      「ビニールが飛ぶ」のも、

 

「狐の仕業」もマンネリ。


     この2句、発想が似ている。


     「どうしてこんなに点がはいったかわからんな」。



     「事故」という兼題で、

 

がんばりすぎたり、きどったり、と


     無理をしている、とも指摘。


     「フクシマ」「チェルノブイリ」「大震災」

 

などを書いた句は報告にとまっている。


4点句は

   キャッチボールの姉と妹豆の花

 
 評:今は兄弟だけでなく、

 

姉妹キャッチボールをやるのも


   めずらしい事でない。

兜太評:あっさりした季語、

 

「豆の花」が効いている。


     地味に作っていい。


   大地震ありったけの燕よ来い


兜太評:おもいきった言って、実感あり。


     「ありったけの燕」がいい。

 

ちょっと言い方が幼い、か。

   
   春愁のすこし大きな馬に乗り


兜太評:自分の春愁をなだめるために馬に乗った。


     「乗る」終止形だときつくなる。


     「乗り」だ。このぼかすほうがいい。


続いて、すべて問題5点となったこの句。

    
   男ありけり無遅刻無事故宇宙塵


評:なにが言いたいか?


  いなくなって宇宙の塵となった?


  「宇宙塵」の働きがわからない。



兜太評:男がいた。無遅刻、無事故で、


     その男をみていると宇宙塵としかみえない。


     哀れを込めて、皮肉った。


     皮肉ったが、哀れをこめている。


     面白い。自画像か?


     「これは肯定的な問題句だな」

はい、これは山本掌の句。


今回は秀逸、秀作、佳作ではなく、


以上の句が兜太選となった。