『美酒と革嚢-第一書房・長谷川巳之吉』
文芸編集者・長谷川郁夫さんが旅立たれた。
2020年5月1日、72歳。
文芸編集者、大阪芸術大学教授。
早稲田大学在学中に、
あの伝説の小沢書店を創業。
30年間にわたって700点の文芸書を出版、
その重厚な企画、
精巧精微な本づくりをする
出版人として名をはせた方。
出版活動を行っていた時期から
吉田健一、堀口大學、青山二郎(単行本未刊)など、
交流のあった作家の回想・評論も様々な場で発表。
作家として、大著の評伝を書き(どの著作も5、6センチの厚さ!?)、
『美酒と革嚢-第一書房・長谷川巳之吉』(2006年刊)で
芸術選奨文部科学大臣賞、やまなし文学賞受賞
『吉田健一』(2014年刊)で大佛次郎賞受賞。
山本掌 第三句集『漆黒の翼』は
長谷川郁夫さんと造った句集。
この句集の装画は
アルブレヒト・デューラーの素描。
金子兜太先生の本も小沢書店から出版されていて、
長谷川さんのことも、よくご存じ。
長谷川さんの編集で句集をつくることを伝えたところ、
「あれは、いい漢(おとこ)だ!」と即答。
半年における句集制作において
「本とは」「言葉とは」など、あるいは
具体的な<造本>について
さまざまのことをお聞きした。
最終校正ではそれこそ1ページずつ、確認し、
校了としたことなど、昨日のよう。
ご冥福をお祈りいたします。
編集した書籍に「小川国夫全集(全14巻)」(小澤書店、1991~1995)
「田村隆一全集(全6巻)」(河出書房新社、2010~2011)などなど。