妖しく、華麗な皆川博子『ゆめこ縮緬』 本の紹介 | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

 

 

 

 

 

 

 

 

皆川博子「ゆめこ縮緬(ちりめん)」

<皆川幻想文学の最高傑作>と帯にある、本。

1989年に集英社から刊行され、

2001年に角川文庫になり、

 

待ちに待たれた再版。



 カバーイラスト:伊豫田晃一


 カバーデザイン:大武尚貴



「文月の使者」
「影つづれ」
「桔梗闇」
「花溶け」
「玉虫抄」
「胡蝶塚」
「青火童女」
「ゆめこ縮緬」



このタイトル、

 

このタイトルだけでぐっと惹かれてしまう・・・

 

 

 

「文月の使者」 


 「指はあげましたよ」
 背後に声がたゆたった。
 空耳。いや、なに、聞き違え・・・・・。

 


「影つづれ」


 狂(たぶ)れた、と思う。
 行けど行けど、果てしない野である。



「桔梗闇」


 み、みィと、地蔵が鳴いた。

 


 


この最初一行がいっきに

 

妖しくも華麗な物語へ誘う。



彼岸と此岸、そのあわい、

時代は大正から昭和初期の設定。

非在の土地、登場人物、その会話、

西条八十の詩が闇をぬうようにはさまれて。

 

 

 

 

 

1989年 集英社刊




わたしの初読はこの単行本。

今回の文庫にはエッセイ

久世光彦「皆川博子には足がない」

葉山響・解説が採録されています。

 

 

 

 

 

 

2001年刊(集英社文庫)