遠田潤子『廃墟の白墨』新刊です! 本の紹介 | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遠田潤子『廃墟の白墨』 2019年9月刊 光文社

遠田潤子さんの小説は

ひとであったり、

その関係性であったり

じつに過酷にひりひりと痛み、

身体に、精神に棘を突きつけられるような、

壮絶と言えるほど、

存在がミリミリと崩壊していくような・・・

で、あっても(であるからこそ)、

その構築された<虚構>は招いてやまない。


この新刊『廃墟の白墨』もそう。



  装幀:柳川貴代
  
  装画:agoera



造本は黒地に白い薔薇の装画、

装幀はちょっとレトロでうつくしい。

見開きは「の」とおなじ赤、

扉は黒で一輪の薔薇。


「白墨の廃墟」の書体が印象的。

この「の」は赤(血のよう綺麗)。

 

 

この本の紹介はこちら

「ミモザの父・閑に封筒が届いた。

チョークで描いた薔薇の絵の写真、

裏には「四月二十日。零時。王国にて。」とあった。

廃墟と化した明石ビルに行った彼を三人の男たちが待っていた。

男たちは語りはじめる。

哀しい少女・白墨の切なく凄まじい物語を──」と。

 

 


みつみつと紡ぎだされる<白墨>に、

ロルカ詩集、カスタネットと

チョークで薔薇を描くことしか知らない

この少女に、

 

小説を手にとって、触れてほしいと思う。