朔太郎の<五月> 「五月の貴公子」 | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朔太郎の<五月>といえば、

極めつけはこれ。

「五月の貴公子」

詩集『月に吠える』に入っています。

 

 




    五月の貴公子


若草の上をあるいてゐるとき、

わたしの靴は白い足あとをのこしてゆく、

ほそいすてつきの銀が草でみがかれ、

まるめてぬいだ手ぶくろが宙でおどつて居る、


ああすつぱりといつさいの憂愁をなげだして、

わたしは柔和の羊になりたい、

しつとりとした貴女(あなた)のくびに手をかけて、

あたらしいあやめおしろひのにほひをかいで居たい、

若くさの上をあるいてゐるとき、

わたしは五月の貴公子である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 詩集『月に吠える』