朔太郎の<五月>Ⅱ 「掌上の種」 | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朔太郎の<五月>

 

「掌上の種」は第一詩集『月に吠える』の

 

「雲雀料理」に載っています。

 

 

見開き二ページで、

 

タイトルと四行までが右ページ。

 

後の六行を左ページに配しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


   
   掌上の種

 


われは手のうへに土を盛り、

 

土のうへに種をまく、

 

いま白きぢようろもて土に水をそそぎしに、

 

水はせんせんとふりそそぎ、

 

土のつめたさはたなごごろの上にぞしむ。

 

ああ、とほく五月の窓をおしひらきて、

 

われは手を日光のほとりにさしのべしが、

 

さわやかなる風景の中にしあれば、

 

皮膚はかぐはしくぬくもりきたり、

 

手のうへの種はいとほしげにも呼吸(いき)づけり。