あの画家マリー・ローランサンは
<堀口大學を「日本の鶯」と呼んで、愛した>。
その大學をして「お白洲」と言わせた、
関容子さんのこの「聞書き」。
詩人・堀口大學の姿が、
くっきりと眼前にたち現れくる。
大學のやわらかで、
エスプリのきいた口調で、語られる
終生の友・佐藤春夫、
敬愛の師の与謝野晶子、鉄幹、
コクトー、アポリネール・・・
詩のこと、詩人たちのこと、恋人のこと
どんなエロティックなことも品があって。
詩人の来し方が15回連載され、
その一回ごとに詩人と聞き手が
真剣をかわしつつ、
ほんのりとしてくる
その絶妙な間合い。
おりおりひかれている大學の短歌、詩。
この『日本の鶯』、
毎回手に取るたびに、
大詩人とも関容子さんとも親しくなってくるような
そんな気にさせてくれる稀有な著作ではないかしら。