オペラ「オルフェオとエウリディーチェ」 @NHK-BSプレミアムシアター | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オペラ「オルフェオとエウリディーチェ」を

録画(プレミアムシアターで放映)で観ました。

2018年5月、シャンゼリゼ劇場で上演されています。


「オルフェオとエウリディーチェ(Orfeo ed Euridice)』は、

クリストフ・ヴィリバルト・グルック
(Christoph Willibald Gluck/1714年-1787年)の

作曲したオペラです。



この当時のバロック・オペラでの

カストラート(去勢し、女声の高音をたもち、胸声の強い)の声が

どれほど愛好されていたことか、と思います。

いまではその役はメゾソプラノ、カウンターテナー、

バリトンということもあります。

このオペラでの「オルフェオ」は

フィリップ・ジャルスキー(カウンターテナー) 、

輝かしい高音、容姿や演技はさすが。

成人男性でのあの<声>、

わかっていても造形の妙としかいいようのないような・・・


「エウリディーチェ」はパトリシア・プティボン。

現代物もよく歌うソプラノ、じつにチャーミングです。



この2人の冥界からの<道行き>が素晴らしい。

オルフェオがエウリディーチェを

 

死から取り戻すための辛い試練、

それがかえって<愛>を信じられない、妻はと嘆く。

そのこころの微妙な心理の動き、

そのドラマティックなこと。

あのグルックの音楽でこんなに

納得して聴けたのは初めてのこと。

ここでのアリア「われはエウリディーチェを失えり」の

なんと痛切であることか。


演出はカナダのロバート・カーセン。

現代風に置き換えてじつにシンプルで、

バロックオペラに新しい風を吹き込んだよう。

オーケストラもバロック楽器による

<イ・バロッキスティ>

 

指 揮のディエゴ・ファソリスが熱い。

 



美術は舞台一面の土砂がひかれ、

衣装は喪服の黒のスーツ、

女性は黒のワンピース。

現代的な装いでもなんの違和感もない。

それがこの土砂の灰色とで、

モノトーンの舞台が効果的。

照明も無彩色で暗いライティング、

陰影が美しい。

合唱は様式的な動きもあって、

ギリシャ劇のコロスのよう。


オペラ「オルフェオとエウリディーチェ」を

愉しんで観劇できた公演。

 

 

 

 

 

 

 

フィリップ・ジャルスキー とパトリシア・プティボン

 

 

オルフェオ:フィリップ・ジャルスキー

エウリディーチェ:パトリシア・プティボン

アモーレ:エメケ・バラート ほか


<指 揮>ディエゴ・ファソリス

<演 出>ロバート・カーセン

<合 唱>フランス放送合唱団

<管弦楽>イ・バロッキスティ

収録:2018年5月28・31日 シャンゼリゼ劇場(パリ)


◆「エウリディーテェを失えり」 ジャロウスキー
   https://www.youtube.com/watch?v=Z8dIevs0VlU



 (画像はネットからお借りしました)