二期会オペラ「外套」「修道女アンジェリカ」「ジャンニ・スキッキ」 @新国立劇場 オペラパレス | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

 

 

 

 

 

二期会オペラ劇場

「外套」「修道女アンジェリカ」「ジャンニ・スキッキ」、

プッチーニ三部作を初日9月6日(木)に

新国立劇場オペラパレスで観ました。

デンマーク王立劇場とアン・デア・ウィーンとの提携公演。

 

 

ダミアーノ・ミキエレット演出が傑出していました。

3つ異なったオペラを一晩で上演するのでなく、

ひとつの芯をもったドラマとして打ち出していること。



「外套」、このプッチーニのヴェリズモ(現実主義)、

パリの労働者たちの不穏な空気のなか

不倫の相手ルイージ・樋口達哉を殺すミケーレ・上江隼人。

妻・ジョルジェッタ・北原留美の絶叫から、

「修道女アンジェリカ」へ。

囚人のように扱われる修道女たち、

冷酷な公爵夫人・中嶋郁子は

未婚で生んだ「息子が死んだ」と知らせるが、

この演出では息子の死に生きるよすがを

失い自死した直後、息子があらわれて・・・


美術・照明も素晴らしい。

「外套」の錆のついたコンテナを積上げ、

そこに浮かび上がる<影>が人物たちの

心理のゆらぎのよう。

「ジャンニ・スキッキ」の豪華な居間。

遺産モンダイのドタバタのあと、

装置を展開させると、

コンテナに替わるのには「アッ」と驚愕。


歌手たちも大健闘、歌、演技ともに緊密な舞台に。

ベルトラン・ド・ビリーの指揮、

東京フィルハーモニーに拍手。

熱っぽい終演が続いたオペラ・パレス。

人間のもつ一面の陽、そのうらにある影、

そんな人間像をくっきりと打ち出したオペラ。

プッチーニの「三部作」を

こんなに面白く観たのは初めて。


明日、9日日曜が最終回。

お時間があうようでしたら、どうぞ。